政治家へのお土産に300万円の腕時計? これがイタリア政治の現実

イタリアの五つ星運動は、ペッペ・グリッロというイタリアでは著名なコメディアンと、ジャンロベルト・カザレッジョという企業家がタッグを組んで2009年10月から開始した政治運動。ちょうど僕が大阪維新の会の活動を始める時期と重なっている。

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イタリア取材で、ある有力な政治家と公の施設で面談した。僕の感覚では、公の施設において民間人と政治家の金品のやり取りはご法度。先方から記念品をもらったので、こちらも、まあ問題にならないくらいの記念品(舞妓さんのイラストプリントがあるナイロン製のエコバッグ)を渡したんだ。

そしたら、面談後、先方側からうちのスタッフに、もう少し高価な品にしてくれないか、と連絡があった(笑)

この話をイタリアの有権者にしたら、政治家にお土産を持っていくのは当たり前で、つい先日、ある政治家がお土産に300万円の腕時計をもらったということが問題になって、受け取れる額についてルールを作ろうとなったとのこと。

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政財の癒着構造にNO! 若手が声を上げた「五つ星運動」

イタリア全体ではまだまだこういう雰囲気だけど、でも若手が声を上げ始めた。イタリアの政治を変えようよ、と。それが五つ星運動だ。

彼らに話を聞くと、皆真剣だよ。政治は優先順位。ありとあらゆる分野においてベストな政策を完璧に提示できる政党なんて存在しない。それはイタリアも日本も同じ。

自民党が出している山ほどの政策の中には、賛成できるものがあれば反対のものもある。民進党や立憲民主党の政策でもそう。共産党の政策にだって賛成できるものがある。

こんな状況でどうやって有権者が政党を選ぶかと言えば、その政党が何を一番重視しているかという視点。有権者が一番重視している視点と政党のそれが合致すれば、その政党は風を吹かせて勝利を収めることができる。結局、優先順位なんだよね。

イタリアの有権者の多くは、特に若者たちは、政治とカネ、政治と企業の癒着、この点を一番問題視している。イタリアの失業率は10%ほどあり、特に若者の失業率は30%台とも聞く。大学を出ても3年ほどニートになるのは当たり前らしいし、政治家とコネがあると就職しやすいらしい。昔の日本だね。

五つ星運動は、ここに焦点を絞った。企業団体献金の禁止、議員の報酬カット、議員定数のカットを強力に訴える。そして、政治が既得権化しないように、2期務めたら引退して別の仕事に就くルール。だから人材の入れ替わりが起きる。全ては政治家が襟を正すところから出発だ、と。だから他の政策で不十分なところがあるかもしれないけれども、同じ視点を持つ有権者を強力に引き付け、風を吹かせ続けている。

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