なぜあなたは忙しいのか。それはムダな行動で時間を浪費しているからかもしれない。今回、「プレジデント」では5つのムダについて、5人の識者に解決法を聞いた。第1回は「悩むだけムダ」――。(全5回)

※本稿は「プレジデント」(2018年1月29日号)の特集「24時間の使い方」の掲載記事を再編集したものです。

今こそ「時間泥棒」を見つけ出し退治せよ

「メトカーフの法則」という理論がある。ネットワークの価値は接続される端末の数のおよそ2乗に比例するというものだ。ファクシミリが1台だけでは役立たないが、2台になると2通りの通信が可能になり、4台なら12通りの通信……とその価値がどんどん高まっていく。

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しかし、コンサルティング企業ベイン・アンド・カンパニーの著作『タイム・タレント・エナジー』では、その弊害も指摘している。コミュニケーションのコストが下がると、やり取りの回数が急増し、そのために時間も奪われていくのだ。対面や郵便が中心だった1970年代、役員1人の年間コミュニケーション量は約5000件だった。80年代にはボイスメールの普及で約1万件。各種ツールが発達した現在は、約5万件まで跳ね上がっているという。

時間泥棒が潜むのは、職場だけではない。日常生活の中でもぼんやり考えごとをしたり、スマホをいじったり、貴重な時間があっという間に流れ、我に返ってがく然とすることも多いだろう。

もし仕事と生活を充実させたいのであれば、何が「ムダな時間」かを見極め、意識して排除していく必要がある。