運営会社であるモスフードサービスの業績はさえない。2月9日発表の17年4~12月期決算では、売上高は前年同期比0.8%増の544億円と微増にとどまり、本業の儲けを示す営業利益は同19.6%減の33億円と、大幅な減益となった。

主力のモスバーガーの国内店舗数が減り続けていることに加え、既存店客数の減少も大きく影響している。17年4月~18年1月の累計の既存店客数は前年同期比で1%減った。

客数減は一時的な話ではない。14年3月期から17年3月期まで、4年連続で前年割れを起こしている。客離れが止まらない状況だ。

モスバーガーはこれまで、手間とコストをかけて高価格だが高品質のハンバーガーを作ってきた。特に使用する生野菜にはこだわりを持っている。1997年頃から国内の生産農家と協力体制を築き始め、国産の生野菜を使ったハンバーガーを売り物にしてきた。現在では、全国約3000軒の農家から野菜を調達している。

モスバーガーのハンバーガーが高く評価されていたのは、この点によるところが大きい。マクドナルドのハンバーガーでは満足できない人や、おいしいハンバーガーを求める人を取り込むことに成功してきた。その結果、「低価格のマクドナルド」対「高価格だが高品質のモスバーガー」という構図ができていた。

海外発の高級ハンバーガー店も次々上陸

しかし、その構図が崩れてきている。背景にあるのは「ハンバーガーの高級化」だ。

チェーン店では、フレッシュネスバーガーが、モスと同じく国産の生野菜を使うなど素材にこだわった商品をそろえ、モスよりやや高価格帯で販売している。バーガーキングでは、カスタマイズやボリュームが売りの商品を、やはりモスよりも高価格帯で販売している。ファーストキッチン・ウェンディーズも同様だ。

また、海外発の高級ハンバーガー店が相次いで日本に上陸している。15年7月にニューヨーク発の「ベアバーガー」の1号店が日本に上陸した。ハンバーガーの中心価格帯は1280~1580円とかなり高い。同11月にはニューヨーク発の「シェイクシャック」が、16年3月にカリフォルニア発の「カールスジュニア」が、17年3月にはロサンゼルス発の「ウマミバーガー」がそれぞれ日本に上陸している。どれも本格的な素材や味わいを売りにし、価格帯はモスよりも上だ。