「お客様」と「ライバル」だけがマーケットにいる

「会社の仕事を誰に教わりましたか?」と質問すると、多くの人が「上司」と答えます。

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ではその「上司」は誰に仕事を教わったのでしょう? 「上司の上司」でしょうか? では「上司の上司」は誰に仕事を教わったのでしょう? 「上司の上司の上司……」?

違います。私たちが仕事を教わるのは、「上司」でも「社長」でもありません。正解は、「マーケット」です。そしてそのマーケットには「お客様」と「ライバル」しかいません。

「お客様」は、会社にとって「一番大切な人」であり、「ライバル」は、「なんとしても勝たなければいけない相手」です。

「リンゴを50、梨を100売る」計画を立てたとします。ところが実際は、「リンゴが80」も売れましたが、「梨が30」しか売れませんでした。

このような場合、多くの会社は、「梨」の売上を伸ばそうとしますが、お客様が欲しいのは「梨」ではなく「リンゴ」であることは明らかですよね。

「お客様の声に合わせて自社を変える」。この原理原則がわかっていれば、リンゴを「さらに売れる」ように梨にかかった経費を追加して販促し、梨は「成り行きで売る」ように変更するのが正しい対策です。

「ブラウス」を売ろうとして売れなかったとき、「じゃあ、今度はパンツを売ろうか」と勝手な臆測で動いてはいけません。「どうしてブラウスを買わなかったのか」、お客様に正解を聞いてみる。そのとき「欲しい色がなかったから買わなかった。ピンクがあれば買った」という答えを得たのなら、「ピンク色のブラウス」を売るのが正しいのだとわかります。

ライバル会社は、自社の不足を教えてくれる存在

お客様からの注文が来なくなったら、それは「ライバルにお客様を取られた」ということです。

例えば行きつけの居酒屋に飲みに行き、店主とけんかしたとします。そうなれば、二度とその居酒屋には行かなくなるということはあるでしょう。

ですが、二度と居酒屋に行かなくなるかというと、そんなことはありません。ほかのお店で飲むはずです。

ダスキンのマットを扱うわが社の場合で考えると、マットを使っているお客様が解約したら、そのお客様はもうマットを使わないわけではありません。「解約」と聞くと、「このお客様は、もうマットは使わない」と決めつけてしまいがちですが、実はライバル会社のお客様が、1件確実に増えているということにほかならないのです。