“インスタ映えバカ”は自分が何も見えていない

SNS上で水を得た魚のようになる人の中に少なからぬナルシシストが含まれているとしても、必ずしも全員が自己愛性人格障害の診断基準に該当するわけではない。むしろ、トランプ大統領のように、何の診断も下されないまま長年過ごしている人のほうが圧倒的に多く、中には大きな成功をおさめた人もいるはずだ。

写真=iStock.com/recep-bg

だから、現在、読者の皆さんがインスタ映えを気にしながら、SNSへの投稿を繰り返していても、「自分も自己愛性人格障害ではないか」と心配する必要はない。

もっとも、インスタ映えのする写真をSNSに繰り返し投稿している他の誰かから、例の「見て、見て、わたしを見て!」という過剰なまでの自己顕示欲が見て取れたら、どう感じるだろうか。しかも、その人が自己陶酔していて、あなたを含めた周囲のやや冷ややかな視線に気づかなかったら、思わず、怒り、敵意、反感などが込み上げてくるのではないか。

▼トランプ予備軍に「発信器」はあるが「受信器」はない

トランプ大統領やトランプ予備軍のようなタイプには、「発信器」はあるが「受信器」がない。だから、自分がいかに楽しく充実した生活を送っているか、自分がどれほど成功したか、自分がどんなに魅力的かを認めてほしいあまり、無自覚のまま一方的に発信し続ける。その結果、SNS上での自分の評価を高めたくてインスタ映えを気にしているにもかかわらず、逆に評価を落とすという皮肉な事態を招く。

これも、自己愛のなせるわざである。したがって、自己愛について17世紀のフランスの名門貴族、ラ・ロシュフコーが「ちょうど、われわれの目に似ている。何でも見えるが、自分自身だけは見えないのだ」と言ったことを肝に銘じ、わが身を常に振り返りたいものである。

(写真=iStock.com)
【関連記事】
なぜ人は「インスタ映え」したがるのか
なぜインスタ有名人は"食"にこだわるのか
ネット選挙でも「インスタ映え」が重要に
真実も歪められてしまう「SNS」の怖さ
忖度なし"2017年ウラ流行語大賞"11選