管理職に就く女性が強く求める「報酬」とは?

実は、「自己成長のために働くことが重要だ」「興味・好奇心を追求し、喜びや充足感を得るために働くことが重要だ」と考えている女性(「そう思う」「強くそう思う」と回答)も、就活時点とアンケート回答時点とで、ほとんど変わりませんでした(約6~7割)。

「出世・昇進する」「高い報酬を得る」ことを求める意識は、いわば「外的報酬」と言われます。一方、これら「自分の能力やスキルを活かす」「自己成長する」「好奇心・充足感を得る」ことを求める意識は、「内的報酬」と言えます。つまり、多くの女性は、金銭や肩書ではなく内的報酬を追求する熱い気持ちを、就活時だけでなく結婚・出産などを経験した後も持ち続けていることになります。

このため、女性の活躍を促すためには、仕事と家庭の両立支援制度の整備だけではなく、女性の能力やスキルを活かせる仕事を与えることが重要であると考えます。

いまだに、女性社員に対し、難易度の高い仕事を与えづらい風土(あるいは男性管理職の意識)が残っている企業があります。そうした風土が残っていれば、女性管理職を増やすことは困難です。将来の管理職候補となる女性人材を輩出するためには、女性に対し、マネジメントなどの難易度の高い仕事を与えることで、育成していくことが必要です。

なお、前述した「内的報酬」に関してさらに掘り下げてみると、現在管理職の女性と、非管理職の女性の内的報酬に対する欲求(回答内容を1点~5点に数値化)は、前者のほうがやや高いという結果になりました(管理職4.00点、非管理職3.64点)。

また、就活時における内的報酬に対する欲求も、数年後、(現在)管理職となっている女性のほうがやや高いという結果でした(管理職3.9点、非管理職3.66点)。以上のことから、わかること。それは、内的報酬による動機付けの多寡が、管理職への昇進の決定要因の1つになっている可能性が高いということです。

女性の内的報酬に対する欲求を下げないように、依然として変わらない「男性優位」「長時間労働」「女性上司モデルの乏しさ」など、職場が抱える問題を減らすことが、女性の管理職を増やすためには必要だと考えます。

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アンケート調査結果の中では、「やりたい仕事であれば、仕事以外の時間が削られても仕方がない」と考えている女性(「そう思う」「強くそう思う」と回答した女性)は、就活時点で約4割存在していますが、アンケート回答時点になると約2割まで下がっています(図表3)。