「息子のためと思えば頑張れます」

趣味に没頭する中井さんとは対照的に、社会貢献に喜びを見出しているのは、早川修さん(仮名・65歳)だ。人材紹介会社で10~20代の障がい者の就労支援の仕事に従事する。企業の人事や総務担当者を訪問し、障がい者の雇用を促すのが仕事だ。

早川さんは大学を卒業後、25年間広告関連の会社に勤めた後、40代で知人とともに会社を立ち上げたが、不景気のあおりを受けて退社。その後、仕事の確保に苦労し続けたが、「4年前、これまでの営業の経験を生かせて、社会的にも意義のある仕事に就くことができ、今はとてもやりがいを感じている」と喜びを噛みしめる。

月に手取りで約12万円もの収入を得ており、それとほぼ同額の年金と合わせれば生活には困らないという。40代の後半になって生まれた子どもが今はちょうど大学生。学費を稼ぐ必要がある状況も、早川さんが仕事に精を出す理由だ。

「息子のためと思えば頑張れます。息子にも時々、仕事の内容は話しますが、特に反応はありません。でもいつかきっと、父親の仕事を誇りに思ってくれるはず。元気なうちは仕事を続けていきたい」(早川さん)

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