夫が“早死”したとき家族が「もらえるお金4」

「不安に対する安心料」を払うことはおかしいことではありませんが、実際には過剰な備えとなっていることがしばしばです。しかも日本には多くの公的保障があり、それほど大きな不安を抱えなくてもよい環境にあるのです。典型的な「不安」に応じて、公的保障の具体例をいくつか紹介しましょう。

【不安その1:大病して医療費負担が天井知らずにかかると……】
→保険診療の範囲内であれば、医療費の支払いが100万円を超えるようなことはありません。「高額療養費制度」があるからです。これは、病院の窓口で支払う医療費が一定限度を超えた場合にお金が戻ってくる制度のひとつ。※高額療養費が常態化した場合、支払いは不要になるが、最初から窓口支払いがまったくないわけではない

よって、支払う医療費の自己負担上限額は、年収にもよりますが、報酬月額が27万円~51万4999円の人は「8万100円+(総医療費-26万7000円)×1%」。報酬月額が51万5000円~81万円未満の場合は、「16万7400円+(総医療費-55万8000円)×1%」(いずれも70歳未満)。本当は数十万円以上の医療費がかかっていても、ほとんどの場合、8万円強あるいは17万円前後が自己負担の打ち止めになるのです。

また、総医療費には家族(被扶養者)の費用も含まれるので、家族が同時期に病気になった医療費が足された場合も、自己負担上限額は前述の範囲に収まります。同一年に高額療養費の適用が4回を超えると上限額はさらに半減する仕組みもあります。

さらに、医療費の自己負担額が年10万円を超えると、確定申告で医療費控除を申請して還付金を申請できます(所得税や住民税の軽減になる)。ただし、加入していた医療保険の保険金を受けていた場合、自己負担額と相殺するためむしろ医療費控除を使えないことがありえるのです。

【不安その2:病気になって働けなくなったら無収入で生活が困窮するかも……】
→病気やケガが長引き、会社を長期にわたって休む場合は、健康保険制度の「傷病手当金制度」があります。この健保制度により最長1年半にわたって休職前の賃金の3分の2を支払ってくれます(支給には諸条件あり)。また、業務上の理由による休職の場合は、労災保険によって全ての医療費がカバーされ、労災保険から休業補償給付金(休職前賃金の8割)も受けられます(同)。

【不安その3:自分が死んだら住宅ローンが払えなくなり、家族が路頭に……】
→一戸建てや分譲マンションを購入する際、多くの人は住宅ローンを組みます。その契約内容にもよりますが、ほとんどの場合、契約者が死亡や所定の身体障害状態になった場合には、残債についてその返済を免除する「団体信用生命保険(団信)」をつけることができます。これは公的な制度ではありませんが、買ったばかりの家の何千万円ものローンだけが残って、配偶者が途方に暮れるような事態は回避することができます。