▼この国を、守り抜く。自民党

今回の自民党の公約は、冒頭から6ページ目まで「安倍外交」のアピールで埋め尽くされている。その中には「世界の中心で動かす外交。」という見出しとともに、安倍晋三首相とトランプ米大統領、プーチン・ロシア大統領、メルケル・ドイツ首相らとのツーショット写真が並ぶ。まるで「安倍外交写真集」のようだ。

自民党の選挙公約の5-6ページ。「世界の中心で、動かす外交。」として、写真集のようなつくりになっている。

選挙では「外交を争点にしても勝てない」という常識がある。有権者は生活に密着した景気や社会保障などの内政課題に関心があるからだ。だから演説も公約も内政課題を前面に出すことが多い。

自民党の公約が、なぜこのような「常識外れ」の構成になったのか。理由は明らかだ。今回の衆院解散にあたり、安倍首相は「大義がない」という批判を受けた。その批判をかわすため、安倍首相は北朝鮮の脅威への対抗を解散の大義と位置づけている。その大義に正当性を持たせるために公約でも北朝鮮の脅威を強調し、それに立ち向かえる力強い外交力を示そうとしているのだろう。

憲法改正の部分では、イメージ写真として4枚掲載されているが、そのうち2枚は災害救助などをする自衛隊員の写真。そこからも9条に自衛隊明記を目指す安倍首相の意思が読み取れる。

「この国を、守り抜く。」|衆議院選挙公約2017|自民党https://special.jimin.jp/political_promise/
▼教育負担の軽減へ。公明党

自民党と与党の一角を組む公明党。だが、公約をながめると「これが自民と連立を組んでいる政党なのか」という感想を持つ人が多いはずだ。表紙に「教育負担の軽減へ。」と書いてあるように、その公約は内政課題で埋め尽くされている。

4つの重点政策には外交安保の項目はなく、「格下」となる5番目の「安定した平和と繁栄の対外関係」というところであっさりと掲載されている。自民党と公明党の主張は矛盾するものではないが、どこを優先するかで両党の立ち位置の違いが見えてくる。

公明党の「2017衆院選重点政策」の1-2ページ。4項目が大きくあり、5項目以降は小さく記されている。

選挙後の争点になるとみられる憲法改正については、最後の1ページをつかって説明している。「9条1項2項を維持しつつ、自衛隊の存在を憲法上明記する」という安倍首相の提案を紹介しながら「その意図は理解できないわけではありませんが、多くの国民は現在の自衛隊の活動を支持しており、憲法違反の存在とは考えていません」としている。

自民党にはある程度配慮しつつも、あまり乗り気ではない公明党の「本音」が透けてみえる表現だ。

公明党 | 衆院選2017 特設サイト | 2017衆院選マニフェストhttps://www.komei.or.jp/campaign/shuin2017/manifesto/