日本のメディアで、CRMの代表例としてよく挙げられるのが、ボルヴィックの「1リッター・フォー・10リッター・プログラム」です。2007年から10年間にわたって行われてきた活動で、プログラム期間中のボルヴィックの売り上げの一部が、ユニセフを通してアフリカの水支援に充てられます。しかし、このプログラムはマーケティング上の目標が設定されていないため、CRMではなくフィランソロピーといえます。

寄付付き商品の場合、寄付額が商品の売れ行きと連動しているため、販売促進効果があることは容易に想像がつきます。したがって、マーケティングと位置づけられていなければ、消費者は違和感を抱くと思われます。

実際、ボルヴィックのCM好感度は、プログラムが開始された07年8月度は、好感度は20位、「企業姿勢に『ウソ』がない」は1位でしたが、09年7月度は、CM投入量を増やしたのにもかかわらず、好感度は178位、「企業姿勢に『ウソ』がない」はトップ10圏外まで下がってしまいました(出所:『月刊CM INDEX』07年9月号、09年8月号)。

フォアハンドらの研究では、消費者の否定的な反応は、「CRM等を通して利益を得ていると思われること」ではなく、「CRM等を通して企業が得ている利益に対してウソをついていると思われること」によって起こるとされています。そのため、CRM等の活動にかかわる企業は、企業に生じる利益に対し、包み隠さず正直になることにより、消費者に懐疑心が生まれるのを避けることができます。