対処方法

まず、管理職本人を含めて6人くらいのチームがベストというのが私たちの持論。日本の市場の成熟度や扱う商材の多様性を考慮すると、10人を超えたら限界がある。が、そこに専任マネジャーを張り付けられるかというと、おおむね会社の体力的に無理であり、現場の営業マンが兼務せざるをえないのが現実だ。実際、日本の営業組織でプレーイングマネジャー制を完全廃止するのは難しい。ゆえにその前提に立ちつつ、より効率的にマネジメントを行う方法を提示していきたい。

まず、会社として「階層別の管理職としての役割」を明確にすると、それに従ってマネジャーに必要なスキルもはっきりして、管理職を育成する仕組みもつくれる。ゴールが明確なのでプレーヤーとしての仕事にも余裕が出てくるし、部下も育ってくるはずだ。

そもそも、受注をすることだけではなく、「見込み客を集めること」が営業の仕事である。できるだけ多くの見込み客を集めておき、買いたくなったら相談してもらえる状態にしておくのが、営業が継続して数字を獲得するコツであり、それを組織として行うのがマネジメントの役割なのだ。

マネジメントでも、支店長クラスなのかグループリーダーなのか、その階層によって役割は違うが、ことミドルマネジャーに限っていえば、部下をうまく使って見込み客を増やしていくためのリーダーシップには2つある。

1つは部下にわかるようにストーリーを見せること。上から降ってきた戦略を現場レベルで絵解きして見せて、「会社が何をやろうとしているのか」を理解させることだ。さらに、もう1つは優先順位を決めてやること。「ああやれ」「こうやれ」は誰でも言えるが、優先順位がわかったうえで、「それはやらなくていい」「後でいい」と、やらなくていいことまで指示できるのが理想だ。

仕事のロードマップをわかりやすく見せ、何から手をつければよいかを示せば、部下はそこに向かって自動的に動けるようになる。結果、自分が受注のために動きまわらなくても部下が育ち、数字は上がるはずだ。上手に権限を委譲できれば、プレーイングマネジャーとして合格点が得られるだろう。

(図表データ=カーナープロダクト調べ)