9月1日に実施予定の民進党代表選挙。前原・枝野の両候補の対決となっているが、実は第3の候補が立候補を断念している。そこで問われたのは「誰と組むか」ではなく「何をやるか」だった。他党に振り回されている限り、民進党の再生はあり得ない――。
民進党代表選挙に立候補し、討論を行う前原誠司元外相(左)と枝野幸男元官房長官=8月22日、東京都千代田区(写真=時事通信フォト)

結党の目的から遠ざかる民進党の現状

「民進党は、民主党でも維新の党でもありません」

これは民進党代表選に立候補の意向を示したものの、推薦議員を集めきれずに立候補を断念した井出庸生衆院議員が、急遽作成したビラの冒頭の一文である。

民進党は民主党でもなく維新の党でもない、安倍一強に対抗するために両党が結集した新しい党のはずだった。しかしその実態は、民主党の看板替えになってしまっている。事実、旧維新系が掲げていた「身を切る改革」や「脱原発」は旧民主系の数の力で押し切られて反故にされてきた。主な役職ポストも旧民主系議員で占められている。人数においても旧維新系グループが昨年の代表選で江田グループと松野グループに分裂したことで、旧維新系は事実上消滅してしまった。

井出議員が代表選への出馬の意向を示したのは、こうした現状に違和感を覚える議員が党内にいたからだ。井出議員は必要とされる推薦議員20名をあと一歩のところで集めらなかった。立候補したところで代表に選出される可能性はなかっただろう。

結局は旧民主党内の勢力争い

それでも出馬の意向を示した背景には、旧民主系内の右往左往に翻弄され、政局にあけくれて政策議論もままならず、本来の結党の目的から遠ざかってしまっている民進党の現状に、代表選への若手候補の出馬によって一石を投じることで目を覚まさせ、初心に返らせたいということがあったように思う。(加えて言えば、井出議員は旧維新系・旧結い系であるが、その旗を立てようというのではなく、旧民主系のしがらみのない旧維新系・旧結い系にしかこうした行動はできなかったということだろう)

その民進党代表選、結果的に旧民主系の前原誠司衆院議員と枝野幸男衆院議員の一騎打ちとなった。代表選の目的は、民進党の建て直しだといわれている。下馬評では前原議員が国会議員票では優位、地方議員やサポーター票では枝野議員が優位と聞かれるが、どちらが代表に選出されたとしても、結局は旧民主党内の勢力争いにしかみえない。高校の仲良しグループ同士の意地の張合いのようなものだ。

そんな内輪のたたき合いで党をいいように振り回してきた2人に党の建て直しなど期待できないし、望むべくもないように思う。