【田原】このときはまだアフリカはやっていなかったんだ。

【山川】はい。アフリカのきっかけは、中古車輸出のポータルサイトに載せていた車にジンバブエから注文がきたことでした。最初に売れたのは日産テラノで、約40万円。そのほかに、日本で逆にお金をもらって引き取っていた解体車もアフリカから注文が入りました。解体車は3万円もらって引き取って7万円で売れた。粗利は10万円です。こんなものが売れるのかとたくさん載せるようにしたら、ほかの国からも注文が入って月100台単位で売れるようになりました。

【田原】大きく飛躍したきっかけが東日本大震災だったそうですね。どういうことですか?

【山川】震災のとき、多くの外国人が放射能を恐れて帰国しました。じつはパキスタン人もそうで、オークション会場から突然姿を消してしまった。競う相手がいなくなったので安く大量に仕入れることができるようになりました。

【田原】いまアフリカで何カ国ぐらいですか?

【山川】アフリカ55カ国中43カ国に輸出しています。

中古車の次はスマホ・時計・オムツ

【田原】アフリカはまだ伸びますか。

【山川】アフリカは中国経済の影響が強いので、チャイナショックのあとは私たちの売り上げも少し下がりました。でも、今期はまた伸びています。

【田原】そこを聞きたかった。中国はアフリカにたくさん投資してプレゼンスを高めています。中国企業や中国車は競合にならないんですか?

【山川】政府はともかく、アフリカの民間の人たちは積極的に中国と取引しようとしてないですね。中国はODAで金を出すけど、一緒に大量の中国人がやってきて、プロジェクト後も残ってその中でビジネスを回しちゃうから、正直、あまり好かれてない。

【田原】そうですか。アフリカ以外の国はどうでしょう?

【山川】いま世界だと127カ国ですね。先進国も多くて、たとえばアメリカだとパーツがよく売れます。新興国だと、いまはカリブがものすごい勢いで伸びています。ぜんぶで、月1万1000台ほど売っています。

【田原】いろんな国があるけど、基本的に英語で対応ですか。

【山川】できるだけローカルの人を雇ってローカルの言葉で対応しています。たとえば西アジアはロシア語でなければ難しい。ロシア語を話せる外国人を雇ったらうまくいったので、次はモンゴル市場開拓でモンゴル語、アフリカのモザンビークでポルトガル語、ラテンアメリカでスペイン語、西アフリカでフランス語とやっていたら、いまはプロパー社員170人中約40人を外国人が占めるまでになりました。