年収や家族構成によって陥りやすい「支出の罠」があるので、年収が高いからといって油断はできない。ファイナンシャルプランナーが教える「理想の家計バランス」をもとに、年代別「ダメ家計簿」にテコ入れしていこう。

時間のあるリタイア後趣味・娯楽費がアップ

最近では定年後働く人も多いが、この家庭は夫の定年を機に本格リタイア。65歳でスタートする年金を繰り上げ受給しながら、貯金を切り崩して生活している。

「そもそも繰り上げ受給で受け取れる年金は満額ではないので、たとえ住居費がかからなくても、それだけで生活するのはほぼ不可能。この家計に関していえば年間140万円程度足りないので、5年間で700万円不足ということになります。さらに、繰り上げ受給をするとその後の年金額が減額になるというデメリットが。毎月少しずつ生活費に不足が出ると考えると、人生90年時代の今、3000万円程度の貯蓄がなければ乗り切れないでしょう」

もちろん、この家計自体もツッコミどころが満載だ。

「リタイア後は時間があるので、趣味・娯楽費や交際費、小遣いは増加傾向にあります。食にこだわりがある人は食費がかさみ、広い家に住んでいれば節約しきれない水道光熱費の存在も。この年齢になると持病も出てくるため、医療費も増えます。お金がないならないなりの暮らしをしなければ、下級老人まっしぐらですよ」

黒田尚子
ファイナンシャルプランナー。個人向けの相談業務、セミナー・FP講座等の講師、書籍や雑誌・Web上での執筆など幅広く行う。近著に『50代からのお金のはなし』『がんとお金の真実』など。