リッチライフでも赤字転落寸前?

私たちはよく「年収が低いから貯蓄ができない」などと言い訳をするが、ファイナンシャルプランナーの黒田尚子氏は「それは間違い」と断言する。

「年収が高ければ家計に余裕が生まれ、低ければ余裕がなくなりそうなものですが、お金のこととなると話はもう少し複雑に。たとえば、インドア派で倹約家なら無駄な出費が少ないので、年収が低くてもやり方次第で貯蓄ができます。いっぽう、どんなに稼いでいても『子どもは私立に入れたい』『マイホームを一等地に構えたい』『外車に乗りたい』と欲張ると、お金はすぐになくなります。その結果、暮らし向きはリッチでも貯蓄はゼロ。家計は火の車……と赤字転落寸前の家庭も少なくないのです」

上の表は、黒田氏による「理想の家計バランス」を示したもの。自分の家族構成に近いものを選び、手取り月収にパーセントをかけると、各費目の適正出費が導き出される仕組みだ。この表にない医療費や車両費などの費目は、「その他」としたり、夫の趣味なら小遣いに含めるなどして対応しよう。

「極端に年収が低い、もしくは高いケースは少し割合が変わってきますが、年収300万~1000万円の家庭はこの表で出費の見直しを。もし貯蓄が十分でないなら、抑えているつもりでも実は使いすぎている費目があぶり出されてくるはずです。オーバーしやすいのは、保険料や教育費。必要なぶんまで削るのは心配ですが、自分たちの老後のことを考えれば、『子どもの将来のため』といっても無尽蔵に使うわけにはいきません。適正出費を目安に家計の立て直しをはかりましょう」

特に収入に幅がある自営業の人は、「稼いでいる月」の収入に生活レベルを合わせてしまい、ジリ貧になるケースが多いという。生活レベルを無駄に上げない心がけも重要だ。また、黒田氏によれば、しっかり貯蓄できるタイミングは人生に3回だけ。

「1回目は独身時代から子どもができるまで。2回目は子どもが保育園や幼稚園に通っている間。3回目は子どもの独立後です。教育費や住宅ローンの支払いが重ならない時期が、貯蓄ができるタイミングということになります。ですが、最近では晩婚化が進み、第1子を出産する年齢も上がってきているので、3回目の『独立後』の期間が昔よりも短めに。漫然と毎月の残額を貯めているだけでは、確実に老後資金が足りなくなります。まずは家計の現状を把握することからはじめましょう。『わが家はこの費目を使いすぎているな』と自覚するだけで、意識が変わり、家計も改善されます」

黒田尚子
ファイナンシャルプランナー。個人向けの相談業務、セミナー・FP講座等の講師、書籍や雑誌・Web上での執筆など幅広く行う。近著に『50代からのお金のはなし』『がんとお金の真実』など。