図は第二次安倍政権成立以後の、外国人投資家による投資残高(棒グラフ)と日経平均(折れ線グラフ)の推移を示したチャートである。

安倍政権がスタートした2012年12月を基準とした場合、株価の上昇に伴って投資資金の残高が増えていることがわかる。日経平均が2万円を突破した15年には、外国人による投資残高も20兆円を超えるまでに膨れあがっていた。株価の動きと比較すると、日経平均の上昇と外国人投資家の投資残高には高い相関性が見られる。積極的な外国人投資家の「買い」が日本の株価を押し上げたと見てよいだろう。

ところが日経平均が下落に転じると、外国人投資家による投資も停滞した。現在ではピーク時の半分である13兆円程度まで減少している。このところ東京市場において売買が低調なのは、外国人投資家が日本市場を離れてしまったからである。

外国人投資家は、アベノミクスにおける三本の矢(財政・金融・構造改革)が同時並行で実施されることを買い増しの条件としてきた。

しかし、現実のアベノミクスは、財政と金融までは順調に進んだものの、困難が伴う構造改革については、ほとんど手つかずの状態となっている。日本国内では、アベノミクスの是非をめぐって論争が続いているが、少なくとも外国の機関投資家の中では、アベノミクスはほぼ頓挫したという認識で一致している。今回の消費増税の再延期は予想された動きであり、多くの外国人投資家は、安倍政権が具体的な表明を行う前に手仕舞いしてしまったと考えられる。

ここ半年の大幅な株価下落が、外国人投資家の売りという需給要因で発生していたのだとすると、企業の財務を分析してもあまり意味がないことになる。一方で、外国人の売りが尽きた今、テクニカル的にはそろそろ買いのタイミングと予想することもできなくはない。だがマクロ的な経済環境を考えると、それも難しそうである。