「石炭」というと、環境には悪いイメージが強い。この石炭を利用しながら、CO2などの温暖化ガス、およびSOx等の汚染物の排出を削減する技術を「クリーンコールテクノロジー」と呼ぶ。一般的には「環境低負荷型石炭利用技術」と訳される。

石炭火力に反対する環境保護団体。従来の石炭利用は環境に悪いイメージが強い。(PANA=写真)
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石炭火力に反対する環境保護団体。従来の石炭利用は環境に悪いイメージが強い。(PANA=写真)

利用分野はいくつかあるが、メジャーなのは水蒸気で発電する「USC(Ultra Super Critical:超々臨界圧石炭火力発電技術)」と、石炭をガス化し水素等の可燃性ガスに変換して複合サイクル発電を行う「石炭ガス化複合発電」である。石炭の高効率な利用、排出物の無害化により、環境面と経済面の両方にメリットがある。

日本はクリーンコールテクノロジーの技術が世界トップクラスだ。なかでもUSCは日本がいち早く手がけた技術。しかし、50万kWの火力発電施設を建設する場合、USCだと初期投資は通常の2倍かかる。日本国内での置き換え需要はあるが、どの電力会社も初期コストの高さからクリーンコールテクノロジーの利用には消極的だ。

また、「途上国や新興国では、効率や環境を犠牲にしても費用を下げたいというさらに強い要求がある」(九州大学特任教授・持田勲氏)。加えて、自国で石炭が産出できる国では、たとえその石炭の質が粗悪でも輸入するよりは安上がりであるため、効率にそれほどこだわらない。日本メーカーは、追随する中国・韓国勢の安値攻勢にも押されている。「(日本)政府が差額を負担してくれたら……」と関係者がぼやくほど、前途は多難だ。