小学生にも理解できる話のテクニック

たとえばコンピュータの「アルゴリズム」について、あらゆる説明の一部を見てみよう。

Wiki:
数学、コンピューティング、言語学、あるいは関連する分野において、問題を解くための手順を定式化した形で表現したものを言う。「算法」と訳されることもある。

国立情報学研究所の一般向け解説:
「アルゴリズム」というのは、コンピューターで計算を行うときの「計算方法」のことなんですが、広く考えれば、何か物事を行うときの「やり方」のことだと言っていいでしょう。

コトバンク:
問題を解決するための方法や手順のこと。問題解決の手続きを一般化するもので、プログラミングを作成する基礎となる。

どの説明が一番わかりやすくスッと馴染むだろう。これだけではアルゴリズムそのものを理解するまでいかないが、意外に国立情報学研究所のものがとっつきやすくないだろうか。つまり、この説明の違いが候補者たちの語彙や文法レベルの違いであり、私たちが日ごろ営業をしたり、プレゼンで人に伝えたりするときの「言葉の選び方」なのである。

米国インディアナ州の上院議員ビバリッジはこんな風に話している。

「聴衆のなかでもっとも教養がないと思われる人を選び出して、その人にあなたの議論に興味を持たせるように努力するのは、よい練習になります。それは、事実を明快に述べ、考えの道筋をはっきりと示すことによってのみ可能となります」

聞き手の中にいる子供でも理解できるくらいに明快に説明をすること。決して専門用語を並べて、自分だけがわかり、自分が優位に立つべきではない。むしろ、相手が気持ちよく「知ってる」「わかってる」と勘違いするくらいに“わかりやすく”することが、その人を惹きつけるために有効に働くわけだ。

誰にもわかる言葉で専門知識をかみ砕いて説明し、バリエーション豊富な話し方で相手を飽きさせない。これを心得るだけで、人はずいぶんとあなたの話に引き付けられるようになるはずだ。

[脚注・参考資料]
Elliot Schumacher, Maxine Eskenazi, A Readability Analysis of Campaign Speeches from the 2016 US Presidential Campaign, Language Technologies Institute School of Computer Science, Carnegie Mellon University
CNN Plitics, Donald Trump's entire South Carolina primary speech,
The Boston Globe For presidential hopefuls, simpler language resonates, Trump tops GOP field while talking to voters at fourth-grade
Boston.com , Speech analysis shows Donald Trump speaks to voters at fourth-grade level
Phrases like “I’m really rich’’ can be understood by everyone, Boston.com
デール・カーネギー著 田中融二訳 山本悠紀子監修『心を動かす話し方』(ダイヤモンド社2006)

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