受験のたとえでも明快なように、何か事に当たるときはまず全体像をつかみ、何が重要かを見極める。そうすれば、1日の中でどの順番で仕事を進めればいいかの判断がつく。それが能率アップにつながっていくのだ。

ただし、負荷の高い仕事から始めるには、「前日の仕事を持ち越さないことが大切だ」と岡藤社長は指摘する。

昨日の仕事が残っていると、仕事の軽重にかかわらず、締め切り等の関係でそちらを優先せざるをえないケースが多い。

「私は海外出張したときは、帰国すると真っ先に会社へ戻ってすぐに溜まっている書類の山を片づけ、留守中にかかってきた電話のメモを見て内容を確認し、レポート作成から出張精算まで、すべて一気に終えてしまう。2時間くらいあれば完了しますよ」

翌日、出社したとき、机の上はきれいさっぱり。その日の仕事だけを考えて、優先順位をつけられるわけだ。

おかげで翌朝、帰国を待っていた取引先から電話が一斉にかかってきても、用件はすべて把握しているから余裕を持って対応できるという。

海外出張から戻ったとしても、すぐにオフィスに寄らず、準備を怠れば、翌朝から書類の山と格闘することになるだろう。取引先からの電話にもすぐに対応できない。

「内容を確認してあとで電話します」といったん切れば、その仕事は先送りになってしまう。仕事はそうやって雪だるま式に膨れ上がっていく。

その日の仕事はその日のうちに、その週の仕事はその週のうちにやり終えるのが岡藤社長のスタンダードだ。

「そういう“予習”によって、仕事はスタートダッシュが切れる。学校の勉強も予習さえしっかりやればいい成績がとれるのと同じで、この違いが365日積み重なると大きな差になります。ビジネスマンが出世したければ、仕事の予習を怠らないことですね」