家計格差は1年目の1カ月目から始まっている!

新社会人のみなさん、ご就職おめでとうございます。真新しいスーツに身を包み、これから始まる新しい生活にワクワクしていることでしょう。

働き始める。これは同時に、ご自身の新しい家計管理がスタートしたことも意味します。

自分で得た収入をどう使うか。その使い方次第であなたの人生は変わります。そんなふうに言うと、少しオーバーに聞こえるかもしれません。でも、あながち的外れでもありません。ファイナンシャルプランナー(FP)として、多くの家計を診断してきて言えること。それは、お金は使えば減るし、使わなければ残る。ただ、それだけのことです。今回は、新社会人のみなさんに「当たり前だけどきちんとしたいお金のこと」と題して3つのアドバイスを差し上げたいと思います。

新社会人ではない方も、老後が不安と思う若い世代のみなさんには大切なことなので、よかったらお付き合いください。

[当たり前だけどきちんとしたいお金の話:その1]
▼正しいお金の使い方を学ぼう

「2極化」という言葉をしばしば聞くと思います。教育や情報、いろんな面でいまの日本では2極化が進んでいるといわれます。実は、家計でもそうです。年齢を重ねるほどに「家計格差」は広がっていきます。

同期入社の仲間を思い浮かべてみてください。おそらくそれほど家計に差はないでしょう。ところが、時を経て、30、40、50歳と年齢を重ねていくと、徐々にその「差」は広がっていきます。リタイア後の老年期はそれまでの人生の歩みが結果となってあらわれる年代。その頃には、家計の「差(違い)」も顕著になっています。皆さんがおよそ40年数後にリタイアする頃はもっとその差が劇的に大きくなっているかもしれません。

なぜ、差が生まれるのでしょうか。

人生は、「お金と時間の使い方」で大きく変わるものだからではないでしょうか。

FPという職業柄、どうしてもお金を軸に考えてしまうクセがある私ですが、生きていればお金はかかる。でも、そのお金の使い方で、良くも悪くも「人生が変わる」のです。

お金の使い方を間違えれば、そのツケは必ず後でやってきます。

「家計の2極化」のどちら側にあなたはいくのか。それは社会人1年目で決まると私は思います。コツコツ貯金派と、浪費散財派とでは、結婚して子どもが生まれて家を持つような年代(特に40歳前後)になると、完全に明暗が分かれます。ですから、これから本格的に家計管理に取り組み始める新社会人のみなさんには「正しいお金の使い方」をぜひ学んでほしいのです。

では、「正しいお金の使い方」とはどんなものでしょうか。

こちらのコラムでも何度か書かせていただていますが、簡単に言えば、「自分の人生に生きた使い方」です。みなさんの「こう生きたい」「こうありたい」という人生の目標に沿った使い方かどうかです。

分かるようで分からない、という声が聞こえてきそうですが、とりあえず最初は、「後悔する買い物」になっていないかどうか、財布をあけるたびにチェックしてみてください。

あなたが働いて得たお金は、いわば自分の分身です。

自分の労力が金銭的価値である「給与」となって返ってきたものですから、お金を大事にすることは、ある意味自分自身を大事にすることと同義です。そのお金でモノやサービスを購入するというのは、大切なお金を手放して得る「交換」ですから、当然自分の人生に役立たなければ、お金がもったいないです。

お金を大事にする、ひいては自分自身を大事にする、そして、交換で得たモノやサービスに心から満足する――。そんな身近なところから自分なりの「正しいお金の使い方」を身につける意識を持ってほしいなと思います。