2016年3月31日(木)

「目先の利益」と「人の頼み」優先すべきはどちらか

一流vs三流診断!お金の思考習慣

PRESIDENT 2014年7月14日号

著者
勝見 明 かつみ・あきら

1952年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退後、フリージャーナリストとして、経済・経営分野を中心に執筆を続ける。著書に『鈴木敏文の統計心理学』『選ばれる営業、捨てられる営業』ほか多数。最新刊に『全員経営』(野中郁次郎氏との共著)。

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ジャーナリスト 勝見 明=文 相澤 正=撮影
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わが家の家計に稲盛和夫なら何とアドバイスするだろうか――。経営者の勉強会「盛和塾」で直々に哲学を学んでいる2人のファイナンシャル・プランナーに徹底取材した。

Q. 取引先とかなり有利な条件で契約を結んだ。直後に取引先から条件面での譲歩を求める申し出があった。応じるか、断るか。

【ヒント】これは稲盛氏がかつて実際に経験した話だ。京セラがある米国企業と、その会社の技術を使った製品を日本で独占販売できる契約を結んだ。あとで米国企業が「独占販売はフェアでない」と変更を求めてきた。法律上は応じる必要はないが、稲盛氏は「人間として何が正しいか」を考え、承諾。相手企業はフェアな態度に感銘した。後に京セラはその企業を買収するが、先方が応じたのは、そのときの信頼関係があったからだ。その企業は好業績をあげ、京セラの収益に多大な貢献をした。

FP 佐々木昭人氏・伊藤正孝氏の回答

A. 佐々木昭人氏は事務所兼住宅で、毎朝、トイレ掃除を行い、仏壇と神棚に手を合わせ、姿見の鏡を磨く。

「それは何ごとも前向きに考え、感謝する気持ちを忘れないためです。稲盛塾長は中国の古い言葉をよく使いますが、その中に“積善の家に余慶あり”という一節があります。善いことを思い、善い行いを積み重ねる人や家には、必ず子々孫々まで善きことが訪れる。世の中、必ずしもいいことばかりではありませんが、それでも明日はよくなると信じ、前向きに生きる。その結果、私自身、お客様にも恵まれ、塾長の言葉の意味を実感する毎日です」

稲盛氏は65歳で一度、第一線を退き、仏門に入ったほど、仏教に帰依している。仏教の教えで稲盛氏に大きな影響を与えたのが「思念は業をつくる」という概念だ。「業」とは、「ものごとの原因を形づくるもの」。人間の「思い」は業(=原因)をつくり、それが現実の世界に結果として表れてくる。

稲盛氏の人生観はこの教えに基づいている。人生は「運命」の縦糸と、「因果の法則」の横糸で綴られている。運命は決して決まったものではなく、善いことを思い、善い行いをすれば、善い結果が生まれ、悪いことを思い、悪い行いをすれば、悪い結果が生まれるという因果の法則が人生には働くと。

これを裏返せば、運に恵まれた人は善い行いをしていることになる。実際、伊藤正孝氏は事務所スタッフを採用する際、「あなたは運がいいと思うか」と質問し、「いいと思う」という人間を採用するという。

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