2016年3月25日(金)

一生に一度の「大金」を使うとき、判断基準をどこに置くか

一流vs三流診断!お金の思考習慣

PRESIDENT 2014年7月14日号

著者
勝見 明 かつみ・あきら

1952年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退後、フリージャーナリストとして、経済・経営分野を中心に執筆を続ける。著書に『鈴木敏文の統計心理学』『選ばれる営業、捨てられる営業』ほか多数。最新刊に『全員経営』(野中郁次郎氏との共著)。

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ジャーナリスト 勝見 明=文
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わが家の家計に稲盛和夫なら何とアドバイスするだろうか――。経営者の勉強会「盛和塾」で直々に哲学を学んでいるファイナンシャル・プランナーに徹底取材した。

Q. 不動産価値も上がるだろうという読みも含めて「憧れのまちのマンション」と、子育てのための「子供をのびのび育てられる一戸建て」、どちらを買うか。

【ヒント】稲盛哲学では常に「動機善なりや、私心なかりしか」が問われる。一般人が大金を払う機会は「家を買う」のが代表的だが、佐々木氏によれば、「なぜ家を買うか」についても、「動機善なりや」が問われ、何が「幸せ」かが基準になるという。
不動産価値が上がるとか、単なる憧れは、相対価値の次元だが、家族の幸せは絶対価値の世界。選択は後者が「善」になる。
さらに「買う」と決めてからのプロセスも重要になる。示してもらおう。

FP伊藤正孝氏の回答

A. 稲盛氏は新製品や新技術の開発について、成功するためには、「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」という心得を説く。

新しいことに取り組むときは、自分で壁をつくらず、何としてもやり遂げたいという夢と希望を持って、楽観的に目標設定する。自分に対し、「できるのだ」と繰り返しいい聞かせ、自らを奮い立たせる。

次いで計画の段階では、悲観的に構想を見つめ直し、どのくらい難しいか、慎重かつ小心なほどに考え尽くす。そして、悲観的な要素に対する対策を練ったうえで、今度は楽観的に行動に移る。実行段階で悲観的に考えていては、成功に向かって果敢な行動をとれない。伊藤正孝氏は、「家を買う」という、個人にとっての新規投資にもこのプロセスはあてはまると、こう話す。

「家を買うのは、普通は一生に一度、最初で最後なので、不安や怖さがともないます。そこで、家を買うことについては、自分にとっての“幸せ”を思い描き、夢と希望を持って楽観的に構想する。しかし、予算や住宅ローンの組み方では、きちっと払っていけるのか、悲観的に計画する。

ありがちなのは、建築会社や設計士に勧められるまま、自分の見栄も手伝い、5000万円の予算が最後は8000万円になったりと、大きく膨らんでしまうことです。ここはもう一度冷静に考える。そして、いざ実行となると、つい困難さを想起してしまうので、再び楽観的に行動をとることです」

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