伝統的金融機関はどう対応すべきか

さて、伝統的金融機関にとってどのような戦略が必要になるだろうか?

パブリック型(管理者無し)のブロック・チェーン技術を応用したものは仮想通貨と同じく、オープンP2P(ピア・トゥ・ピア)になっている可能性が高い。これについては(時代の流れと技術の進展として)ある程度避けられないトレンドと理解し、伝統的金融インフラとの接続をなるべく早く確保、追加的に提供できる決済手段以外の金融サービスを前面に出し、ビジネスの歩留まりを高めるしかない。

一方、非パブリック型(コンソーシアムや企業が管理)の技術については積極的にオペレーションへの活用を目的に、できるだけ積極的に取り組む必要性がある。応用の可能性は極めて幅広いが、良く話題にあがるものでも:

・有価証券清算・決済
・不動産登記売買
・保険契約管理
・口座管理:顧客デューデリとマネーロンダリング対策

ブロック・チェーン技術と金融セクターのコンソーシアムとしては R3 CEVが最も有名だが、これには日本の金融12機関を含む世界大手42機関が既に参加している。2016年からは非銀行系金融サービス企業の参入をターゲットしているとの事。

また、住信SBIネット銀行は野村総合研究所の協力の元、シンガポールのDragonfly Fintech社のブロック・チェーン技術を実装し、銀行業務における実証実験をすると昨年12月に発表。

更に今年1月、SBIホールディングスは、ブロック・チェーン技術を活用した次世代決済基盤を提供している米国Ripple Labs Inc.への出資、アジア地域での合弁会社設立を発表。Rippleはグローバルな決済ネットワークとなる事を目標としており、FXマーケットメイキングも行っている。

金融ではない分野でも技術の応用は幅広く、米国のskuchainは事業会社のサプライチェーン・トレードファイナンスにおける清算・決済をオンライン化している。