やっとスタートが切れます
あきらめずに、みんなで努力すれば、いつか夢は叶う。東京都大田区の町工場の技術と情熱を結集した国産そり『下町ボブスレー』。これは池井戸潤著の「下町ロケット」のごとく、小さなモノづくり企業の男たちの痛快なストーリーである。
下町ボブスレーのプロジェクトチームが過日、ジャマイカボブスレー連盟と2018年平昌冬季五輪に向けて相互に協力することで合意した。プロジェクトの責任者、細貝淳一さんは電話口で言った。
「やっと、やりました」
もう、こちらもうれしくて。どうしても、会って話を聞きたく、数日後、大田区の町工場街の会社に細貝さんを訪ねた。こんなに胸がわくわくする取材は久しぶりだった。
相変わらず、細貝さんはエネルギッシュである。部屋に入って来ると、空気がパッと明るくなるのだった。おめでとうございます、と言えば、「ありがとうございます」と笑顔を返してくれた。
「これで、やっとスタートが切れます。これまで準備ばかりして、からだを温めるだけの毎日で、ずっと暖機運転(機械を始動した直後などに低負荷での運転を一定期時間行うこと)の状態だったのが、ようやく走り出せるんだナって思うんです」