すべてのビジネスマンがすべき「落ちこぼれ対策3」

管理職に限らず、日本のビジネスマンが今後、自らの「収益構造」を改善させたいのなら、「パフォーマンス」「チャレンジ」「先見性」の3つの能力を向上させ、現場全体で収益力の刷新をしていく必要がある。そのためには日々何をしていったらよいか、3つの対策案をまとめてみた。

(1)労働市場での自分の価値の査定

すべての成長の礎は「自分の軸」次第だ。起動力は、内在する自我にゆだねられている。まず、今ある自分の価値について、労働市場で査定を受けることを勧める。

今の会社にしかいられないと思うなら、どのようにすれば労働市場で自分の価値を高くすることができるかを問答し、自己改革につなげていく。自分の市場価値を客観的に知ることによって、自分の軸で自らの可能性を広げていく行動ができるようになる。

すると、与えられた仕事だけでは自分のためにならないと考え、もっと新しい案件を企画したり、その企画を遂行するための能力磨きを行ったりと、自分自身のリフトアップを図るようになる。結果、自己の成長を組織の成長につなげて大きな成果を生み出そうとオールアラウンドに考えるようになるため、毎日の勤務生活や働く意識が前向きに一変する。

自分に自信がなくなってきたり、気持ちが弱くなってきた時には、多数ある自己啓発文庫本を読んで、気分を盛り上げ、再び自己研鑽に励む。とにかく日本企業で終身働く予定の従業員は、社外で働く機会を常に意識し、いざとなったら会社を飛び出し外へ出るという気概をもって勤務すると、高い自己成長が見込める。

(2)経営学理論と英語力の勉強

世界市場の視野を持って、広いフィールドで仕事をするためには、経営学の各種理論の理解は必須である。日本の大企業の従業員は頭脳が揃っている割に収益力が弱いという指摘を、海外企業からよく聞く。

その1番の原因は経営学を早い時期に仕込んでないことだと考える。各種MBA教本を読んで仕事で実践、学習成果を活かせば、職務能力はどんどん成長していく。

また、語学力を磨くためは、毎朝の英字新聞の読解、英語ビジネス雑誌の購読、映画コンテンツの鑑賞、英語の音読・録音と聞き取りの訓練が欠かせない。すべてのアクションが会話上達につながる。語学が上達すると、世界のどの異文化社会で仕事をしても、なんら問題なく職務遂行ができるようになるため、“生きる”自信が増す。

昨今のデータ分析(注1)によると、英語を使える国民が多くいる国では収益性が日本より高い。そのため、英語を駆使してグローバル市場でビジネス連携が図れるようになると収益力UPの方向性や糸口が見えてくる可能性が高い。

(3)情報収集と社会人大学院

(1)(2)の土台ができたら、次はビジネスを広げるための情報収集が必要になってくる。

精度の高いメデイアからの情報収集、様々な業界での人脈形成がビジネスの視野を何倍にも広げる。日本企業の従業員は、海外に出て、様々な企業の従業員との交流を踏まえて、「職場の違い」「気質の違い」「組織文化の違い」を知ることで、「職場を閉鎖的にしない」「価値観を多様にする」「思考の一辺倒を打ち破る」といった努力が急務であることを知る。

一番有効な情報取集の場は、大学院だと思う。同時に自己研鑽も図ることができる。

例えば、英語話者が多く、かつグローバル展開で収益性が高い国ドイツやスイスでは、25歳以上の成人の教育投資と時間が日本より多くて長い。1つの会社組織の勤務が窮屈に感じられてきたら、科目履修でもショートプログラムでも構わないので、国内外の大学院へ通ってみるとよい。

専門科目の勉強をしながら同時に、他企業の人々と知り合いになり、職場文化、物事の考え方、価値観などの違いを知り、ビジネスだけでなく社会や業界の視野を広げることができるため、次の成長のステップへとつながる。

日本の大企業は恵まれているが、その環境に甘んじている人々があまりにも多すぎる。そのため潜在能力の割には「稼ぎの力」が弱い。私はこれからまた幾度かの経済停滞がやってくると予想しているが、その危機を生き抜いていくためにも、管理職には以上のような戦略的で野心的な刺激策が必要と考えている。

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