【田原】動画生放送というのは、テレビを意識して?

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カドカワ社長 川上量生氏の経歴

【川上】いや、ユーチューブですね。ちょうどそのころアメリカでユーチューブがヒットして。グーグルが買収しました。グーグルやユーチューブは基本、機械に全部やらせようというアーキテクチャーですよね。それに対抗するなら人間を大事にするプラットフォームがいいんじゃないかと思って、ニコ動をつくりました。

【田原】ライバルはユーチューブですか。僕は新しい時代のテレビ局を目指しているのかと思った。

【川上】いやいや、それは考えたことがないです。テレビ局や新聞社と同じことをするなら、べつに要らないじゃないですか。

【田原】なるほど。従来のメディアと目指すところが違うとすると、ニコ動は何をやるの?

【川上】ドワンゴはエンターテインメントの会社だと思っています。だから、既存のメディアの人たちがやらないことを平然とやってみればおもしろいかなと。

【田原】たとえば?

【川上】小沢一郎さんに出てもらって、好きなだけ話してもらいました。あれは反響が大きかった。

【田原】小沢さんは検察から睨まれて、テレビや新聞でも叩かれましたね。

【川上】はい。小沢一郎さんに出てもらったら、僕もいろんな人から怒られました。政治家はうまいこと言って人を騙すのだから、メディアはそれをチェックすべき。それなのに政治家の発言をそのまま垂れ流すのはおかしいってね。でも、それは間違ってますよ。たとえ政治家が嘘をついているとしても、それは見ている人が判断すればいいこと。だいたい政治家は嘘をつくと言っているメディアの人たちが、それほど見識が高いようには見えないし(笑)。

【田原】こんど安倍晋三を出したらおもしろいと思うな。いまメディアでコテンパンに叩かれている。

【川上】そうですよね。僕は批判されている人、もうメディアが絶対にいいことは書いてくれない人にニコ動に出てもらうべきだと思っています。その意味で、安倍総理にはもっと前に出演をオファーしておけばよかったなあと。