次の慰謝料については、多くの人が誤解しているので、特に注意が必要だと澁川氏は言う。

「男女問わず、慰謝料は男性が女性に必ず支払うものと勘違いしている人が多いですね。慰謝料は不貞行為やモラハラ、DVなどの『不法行為』によって被った精神的・肉体的苦痛に対する損害賠償金です。不法行為がなければ支払い義務はなく、ましてや男性が女性に必ず支払うものではない。また、ネット上では『結婚期間×100万円』という『相場』が流布されていますが、まったくのデタラメです。精神的・肉体的苦痛の程度にもよりますが、一般的には結婚10年で400万円、20年で500万円程度が相場です」(澁川氏)

▼慰謝料:調停・裁判の相場は100万~300万円
▽「性格の不一致」に慰謝料は不要

慰謝料は、不貞行為やモラハラ、DVなどの「不法行為」によって被った精神的・肉体的苦痛に対する損害賠償金。苦痛を被った側が、原因をつくった側に請求するものだ。「性格の不一致」のように「不貞行為」がなく、夫婦どちらに責任があるとも言えない場合や、「W不倫」のように責任が同程度と考えられる場合は発生しない。

「慰謝料=結婚期間×100万円」というのは俗説で、金額は離婚原因や精神的・肉体的苦痛の程度、婚姻・別居期間の長さ、請求相手の収入などを勘案してケース・バイ・ケースで決められる。結婚5年未満で100万~300万円、結婚10年で400万円、20年で500万円が相場だ。

調停や裁判で精神的・肉体的苦痛の度合いを証明するためには、相手側の「不法行為」の証拠が必要となる。逆に言えば、自らが不利な状況になる証拠は極力、隠したり消したりするのが有利な離婚をする知恵だ。

▽慰謝料で「損」しないための5つの注意点

□「 不法行為」がなければ支払い義務なし。
□ 必ず男性が女性に支払うものではない。
□ 慰謝料=結婚年数×100万円はデマ。
□ 請求には証拠(診断書など)が必要。
□ 慰謝料は離婚後も請求できる(時効3年)。