魅力的な提供物を設計するには

●わが社が取り組もうとしている問題をすでに解決している企業はどこか?

この問いはアイデアを完全に断念するのに役立つと思われるかもしれないが、実際にはその逆だ。多くのイノベーターがおかす1つの誤りは、まったく新しいことか、この上なく難しいことをすることによってのみ特別な称賛を得られると思うことだ。

イノベーションは確かに既存のものとは別の何かだが、顧客と会社にとって価値を生み出す別の何かである。そして、できるだけ速い価値創造への道筋を見つけたいはずだ。スペインの偉大な芸術家パブロ・ピカソのアドバイス、「よい芸術家は模倣する。偉大な芸術家は盗む」に従おう。あなたが取り組もうとしている問題は、おそらく世界の誰かが別の状況ですでに解決しているだろう。ヒントを得る先は他の産業、国、企業かもしれないが、それを見つけたら、そのアプローチを自分の問題に応用することで、開発時間を大幅に短縮することができる。

●わが社以外にそれができる企業は世界にほとんどないという強みは何か?

起業家精神が発露される猛烈なペースのせいで、企業が自社の参加している市場と同じ速度でイノベーションを起こすことはますます難しくなっている。スピードだけでは足りないのだ。

企業は信頼されているブランド、流通チャネルへの独自のアクセス、もしくは独自の技術的ノウハウを利用することで、自社の参加している市場よりうまくイノベーションを起こすことをめざすべきだ。自社を特異な存在にしている要素に的を絞ることで、強力で魅力的な提供物を生み出す可能性を最大化できる。