いま話題の「デジタル終活」とは?

デジタル終活では、どのようなことをすればよいのでしょうか。

まず行うべきは、見られて良いもの(家族写真やムービーなど家族が見たがるもの)と、個人的なデータを区別することです。データによってパソコン自体を複数に分けてしまうのもひとつの手です。

さらに、家族写真など家族と共用するデータについては、家族共用の外付けハードディスクなどを用意したり、クラウドサービスを利用したりするなどして、ふだんから家族もアクセスできるようにしておくということでもよいかと思います。

では、見られたら困るものはどうすればよいのでしょうか。

たとえば、データそのものを暗号化する外付けハードディスクに保存すれば、データを吸い出されるということは防げるようです。さらに複雑なパスワードを設定しけば、そう簡単に見られることはないかと思います。

また、私は使ったことがありませんが、一定期間パソコンを起動しない場合や亡くなったあとに特定のアイコンをクリックすると、メッセージを流しているバックグランドでデータを消してくれるというソフトもあるようです。

そのようなソフトを利用してもよいでしょう(ただし、自己責任でお願いします)。

最近では、FacebookやTwitterなどのSNSを利用していた人が亡くなり、遺族が死亡したことを伝えるために、アカウントにアクセスしたいという要望もあるようです。

もし、遺族がアクセスしてもいいと考えるなら、アカウントとパスワードを分かるようにまとめておきましょう。

ただ、しっかりと管理をしておかないと、生きている間に不正アクセスされる可能性があるので注意が必要です。

さらに、エンディングノートを利用してSNSなどのアカウントをまとめておくというのも一つの方法です。

ただ、エンディングノートは、誰かに見てもらうことを前提にしたものですので、パスワードについては、一緒に書いておかない方がよいでしょう。パスワードだけは別に保管をしておき、万が一のときのことを依頼する人にだけ、保管場所を伝えておくということをお薦めします。

武内優宏(たけうち・ゆうこう)●弁護士。1980年、東京都生まれ。2007年弁護士登録後、2011年に法律事務所アルシエン開設。遺言・相続に関する案件や葬儀社の法律顧問業務など、「終活」に関わる法的問題を多く扱う。オフィシャルサイト http://www.alcien.jp/
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