2015年9月8日(火)

訪日外国人はラブホやカプセルホテルがお好き!? 日本全国、ホテル業界大異変[2]

PRESIDENT 2015年8月31日号

著者
中村 正人 なかむら・まさと
ジャーナリスト

編集者。日中ビジネスと現地の動向、特に訪日旅行市場を継続的に取材。共著に『中国人から儲ける本』(宝島社)、『観光資源大国ニッポン』(洋泉社)など。

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中村正人=文 熊谷武二、加々美義人、南雲一男=撮影
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いまや国内の宿泊施設を利用する10人に1人は外国客という時代。そのボリュームゾーンは、ミドルクラスであり、シティホテルよりも、安価でサービスの充実した宿泊施設を自分で探す。そこで人気沸騰なのが……。

※第1回はこちら(http://president.jp/articles/-/16082)

外国客が4割を占める新宿のカプセルホテル

5月下旬の夜10時、新宿区役所前カプセルホテルを訪ねると、フロントでは英語が飛び交っていた。かつてカプセルホテルは、終電を乗り過ごした酔客の“駆け込み寺”だった。しかし、当日の外国客の予約比率は39%。ロッカー脇にはスーツケースが並び、共用ラウンジにはスマホを手にした欧米の青年や、東南アジアの女性のグループがくつろいでいた。

そのなかの若い6人組の外国人男女のグループに話を聞くと、「LCC(格安航空会社)を利用して、マレーシアから今日着いたばかりです。6カ月前にネットで予約した早割料金の1泊2000円台で1週間ほど連泊し、日帰りで箱根や日光に行ったり、浅草や秋葉原、もちろん新宿の街並みも楽しむ計画です」という。

運営会社の東陽メンテナンスの小川周二経営企画室室長は「外国客が増えたのは2年前から。女性フロア開設に加え、『スペースシップみたい』『足がはみ出すこともあるけど問題ないよ』など、海外予約サイトへの書き込みでの口コミの効果も大きいようです」と人気の秘密を分析する。

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(右上)新宿区役所前カプセルホテル。(左上)連泊客が多く、チェックアウトの時間はスーツケースを預けておく。(左下)英語表記が多いのは、外国客が多い宿泊施設だからこそ(下)。カプセルに入ると宇宙船の中にいるようで「楽しい」という外国客。

また、新宿ではJR山手線の内側の東新宿にあるビジネスホテルを利用する外国客も増えている。かつて地方からの出張客が利用していたが、円安の影響で50米ドルを切る価格帯が多いことが決め手となった。その代表格が六星社が運営する老舗の東京ビジネスホテルでロシアや東欧、南アジアなど訪日後発組の国籍が多いのも特徴だ。

さらに、歌舞伎町に人知れず外国客に超人気のデザインホテルがある。13年12月に開業した「新宿グランベルホテル」で、エクスペディアのホテル部門で2位にランクイン。運営会社のフレンドステージの丸山英男支配人は、「東新宿はホテル激戦区。知名度がなく、他社と同じことをしても勝ち目はありませんでした」という。

そこでアジアの次世代アーティスト24名を起用し、歌舞伎町のイメージを具現化した個性的な客室という奇策をとった。設計を担当したUDSの寶田陵クリエイティブデザインディレクターは「外国客には、客室の扉を開けた瞬間、思わず声を上げたくなるような意想外なデザイン性が評価されます。そこにハイテクなど日本的な機能性を加えれば無敵です」と話す。

たとえば、ロフトを備えた客室は20代、30代の若い外国客に人気で、リピートする外国客も増えている。「確かに開業後3カ月間は苦戦したものの、14年秋には客室稼働率が80%に達し、客室単価も1万円の大台乗せを果たしました」と丸山支配人は語る。

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