結婚してからは、よく家族で映画を見ました。

息子と見た中で印象に残っているのは、何といっても『ファインディング・ニモ』。見る前は「ピクサーが作ったお魚さんの映画」ぐらいの認識だったんですけど、蓋(ふた)を開けたら、あまりにもおもしろくて驚きました。こういう映画って、「母と子」の話になることが多いと思うんですが、ニモの場合は、父親が捕らわれた息子を必死になって助けに行くという話でしょう。視点が新鮮でした。

世のお父さんって、普段は家庭であんまり出番がなかったりするじゃないですか。でも、ニモを見ると、「父親は子供にとって大切な存在なんだ」と感じられます。

僕は一時期キャンプにハマっていたんですけど、やっぱり父親としての見せ場がほしかったんだと思います。自然の中でテントを設営し、火を熾(おこ)し、魚を釣る。それを通じて、子供に父親の威厳を見せて、自分の存在意義を確認したい――ニモを見るというのは、それに近いところがあると思うんですよ。父親と子供がコミュニケーションを深めるにはいい映画だと思います。

子供と映画を見たあと、以前はよく「おもしろかった?」「どんなことを感じた?」と感想を聞いていたんですけど、最近は聞きすぎないようにしています。あんまり突き詰めると、映画を見ることがプレッシャーになってしまいますからね。2時間映画を見ていれば、子供なりに何かしら感じるものがあるはず。たとえ言葉にできなくても、感じること自体が大事なんだと思います。息子も、もう高校1年生になったので、一緒に映画館に行く機会は減ってきました。でも、そろそろ大人っぽい映画を見せるのもいいかなと思っています。