全国の空き家問題を解決するスクール

いま空き家問題に悩む全国の自治体や不動産オーナーが注目するスクールがある。

「Aチームはベラミ・プロジェクトを提案したいと思います」――。

「リノベーションスクール」最終日のプレゼン風景

事業計画のプレゼンテーションは8分。その後、提案された事業計画に対してアドバイスや疑問が投げかけられる。計8物件の事業計画の提案がされ、専門家からのアドバイスによって、その事業計画がさらにブラシュアップされていく。

これは北九州市の中心市街地の遊休不動産を舞台に事業計画を仕上げる「リノベーションスクール」の様子だ。

こうしたまちなかの空き店舗や空き家を使った実践的なまちづくりセミナーが全国各地で広がっている。北九州市サービス産業政策課が取り組む「リノベーションまちづくり推進事業」から始まったこの動きは、遊休不動産を活用した新たな地域再生手法として注目を集めている。

スクールでは対象物件として、北九州市に散在する実際の空き店舗、空き家が不動産オーナーから持ち寄られる。それぞれの建物の用途や規模、構造などはさまざまで、オーナーも個人から法人まで、さらに官公庁所有の公共空間も含まれる。

全国から集まった受講生は現役大学生や工務店勤務の職人、不動産会社社員、地方議員など、さまざまな肩書を持つが、まちづくり、リノベーションに並々ならぬ好奇心を持った受講生たちだ。

受講生は10人程度のユニットと呼ばれるグループに分けられ、1ユニット1物件を担当し、3泊4日間の集中講座で物件の再生事業計画を立案していく。各ユニットには、第一線で活躍するまちづくりの専門家がユニットマスターとして2人ずつ配置され、計画から立案に至るまで指導と手助けを行う。さらに必要な知識や技術を、ライブアクトと呼ばれる講座で学んでいく。

対象物件や周辺エリアの読み解き方、事業構想や計画、事業収支の組み立て方、効果的なプレゼンテーションの手法……、受講生たちは再生事業計画を立案すると同時にまちづくりの基礎知識を学んでいく。

スクール最終日には、公開の場で、各不動産オーナーに事業化を前提としたプレゼンテーションが行われる。ここで提出された事業計画は、まちづくり会社である北九州家守舎が不動産オーナーの事情にあわせてサポートし、事業の実現化を目指していく。