一方で、約20人いる部下の出勤管理や各人のレポートの最終チェックといったマネジメント業務もこなす。特に人事考課の時期や、テレビ出演や執筆依頼が増える年末年始は「しんどい」が、何とか時間を調整する。

午後はセミナーや企業訪問など外出が続き、分析内容を、今度は口頭でアウトプットしていく。

このように多忙を極める藤戸さんだが、自宅では、寝る前と朝以外は一切、マーケット情報には触れない。

「24時間気にしていたら、体も精神ももちません。以前は気になったら夜中にパッと見たりしていましたが、眠りが浅くて翌日の業務に支障をきたしました。テレビで株式市場が……と流れた瞬間、チャンネルを替えます。土日もマーケットに関することは一切、自分の頭の中からはずします。ただ日曜日の夕方からは、土日の間に世界で何が起こったのか分析に入ります」

休日は文学や美術など投資とは無関係のジャンルに親しみ、「オンとオフを意図的につくることが、バランスを保つ秘訣」と話してくれた藤戸さんは、最後にこうもアドバイスしてくれた。

「自分が放電ばかりしていてはいけません。インプットの時間も持つようにしましょう」

藤戸さんにとって執筆やセミナー、取材対応などは大事なアウトプットの時間。投資家に必要とされる質のいいアウトプットができるのは、早朝に始まる地道なインプットの時間があるからこそなのは、いうまでもない。

●藤戸さんの24時間

(上)A4ノート見開きに重要な数字を書き写し、頭に叩き込む(下)PRESIDENT誌の取材を受ける

5:00 起床→iPadで為替、金利、株式をチェック
5:15 朝食・出勤準備(NHK BS1「ワールドWave」)
6:30 出社→ノート書き写し、基本シナリオの策定
7:30 電話取材に対応(終日)
8:00 基本シナリオを社内外に伝える
9:00 資料作成、原稿執筆、マネジメント関連の業務
11:30 昼食
12:30 資料作成、セミナー講演、メディア出演、顧客訪問→分析&資料作成
18:00 早ければ帰宅
18:30 入浴→夕食→リラックス・タイム
22:00 iPadで海外市況の確認
22:30 就寝

(向井 渉=撮影)
【関連記事】
どのような情報を取る、インプットするべきか
孫正義式「仕事はすべてA4 1枚」の技術
『頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか?』高橋政史著
お金がころがりこむ「朝型」人間の習慣10