目の前の仕事から逃げるプロセスは男女で異なるが、どちらにしても問題あり。これを改善するにはどうすればいいのか。医学博士で作家の米山公啓先生が注目するのは、報酬をもらえるまでの期間の長さだ。

「『この仕事をコツコツ頑張れば、1年後にこういう成果が出て年収も上がるはず』という報酬は、頭でいくらそれが大事なことだと理解していても、動機づけとして弱い。極端にいうと、人間の脳は明日の2万円より今日の1万円を求めるようにできています。報酬は、遠すぎてはダメ。途中で細かくゴールを設定して、その都度、自分に何か楽しみを与えてあげたほうがいい」

しかし一方で、「遊びたいときは遊んで、仕事を後回しにするのも1つの方法」というアドバイスも。

「人間の集中力は、それほど長く続きません。仕事を長時間しているようでも、実際は頭を使わずダラダラしているケースが多いのです。それならば意図的に仕事を後回しにして、あと数時間で片づけないと終わらないというギリギリの状況をつくったほうがいい。危機感からノルアドレナンが出て、脳がいつも以上に頑張ってくれますよ」

リスキーな方法だが、どうしても誘惑に勝てない人は試す価値ありだ。

中野信子(なかの・のぶこ)
医学博士、東日本国際大学客員教授
東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。2010年までフランスCEAサクレー研究所勤務。
 
米山公啓(よねやま・きみひろ)
医学博士、作家
聖マリアンナ医科大学で自律神経機能の評価や老人医療・認知症問題などに取り組んだ後、1998年退職。現在、米山病院で診療をしつつ、著作活動、テレビ出演などで活躍。
(加納真男也=撮影 PIXTA=写真)
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