2015年3月4日(水)

やる気がなく、叱るとふてくされる部下。どう育てたらいいか

出口治明の「悩み事の出口」

PRESIDENT 2014年12月15日号

著者
出口 治明 でぐち・はるあき
ライフネット生命社長

出口 治明1948年、三重県生まれ。72年京都大学法学部卒業、日本生命入社。92年ロンドン事務所長、95年国際業務部長、98年公務部長。2006年生命保険準備会社ネットライフ企画株式会社を設立、同社社長に就任。08年生命保険業免許を取得、ライフネット生命保険社長に。2013年6月より現職。

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出口治明 構成=八村晃代 撮影=市来朋久
――部下にやる気が感じられません。叱るとふてくされるし……どう育てるか悩んでいます。

やる気がない部下は、不満を抱えていることが多い。まず話を聞いてあげることが大切です。「元気がないし、やる気がないみたいだけれど?」と、一対一で聞く。

――聞くだけでいいんですか?

聞くだけでいい。むしろ、聞くだけのほうがいいのです。恋愛でも、相手の話をよく聞かないとだいたいふられるでしょう。人間は「聞いてほしい」動物なのです。

面白いアメリカの実験があります。部下が不満を持っている場合、責任ある上司が丁寧に話を聞いてあげると、原因が除去されなくても、不満の7~8割は消えたそうです。

――やる気が出るよう、指示してあげたほうがいい気もしますけど?

原因が明白ならそれもいい。でも常に効果があるとは限りません。なぜなら、人間は面従腹背ができる動物だからです。

個人的に印象に残っている出来事があります。僕が入社して間もない頃、部長が役員に呼ばれました。「付いて来い」と言うので一緒に行ったら、役員が5つも6つも指示をする。部長が「はい、わかりました」などと言っているので、僕は横で「あ~、また今日も残業だ」と思っていた。

ところが部屋を出たら部長が「出口、なにもしなくていいぞ。あんな思いつきの指示に付き合っていたら時間の無駄だ、ほっとこうぜ」と言うのです。これぞ面従腹背だと感心しました。

――納得させなければダメですね。でも、つい説教しちゃうんですよ。

上から物を言いたくなるのは、「上司である俺のほうが偉い」という考えがあるからじゃないですか? そういう考えは捨てないと、伝わりません。日本は年功序列だから勘違いしやすいのです。「俺は何年も働いている」「だから偉い」と。そもそも上司も部下も、組織を運営するための、“ファンクション(機能)”にすぎません。チームで仕事を回すために、上司はたまたま上司の機能を割り当てられただけ。偉いわけではありません。

上司の役割は、チームとしてよいパフォーマンスをあげること。やる気のない人がいたら困るわけです。

だったら、部下の話を真正面からよく聞いてあげてください。話を聞いてその人を知ることで、より使いやすくなるという利点もありますから。

――出口さんはどんな上司なんですか?

僕は肩書は社内で一番上ですが、部下によく指示してもらっています。今日も秘書から「お世話になったこの人に、すぐお礼メールを書きなさい」と言われて書きました(笑)。指示されるのは楽ですよ。何も言ってもらえなかったら、全部自分で考えなきゃいけない。偉そうにするのをやめたら、上司の仕事も楽になるのです。上司は「機能」です。

Answer:「部下にどう言うか」ではなく「部下の話をどう聞くか」が大切です。

出口治明(でぐち・はるあき)
ライフネット生命保険会長兼CEO

1948年、三重県生まれ。京都大学卒。日本生命ロンドン現法社長などを経て2013年より現職。経済界屈指の読書家。

 

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