総選挙で国民に選択肢を示すのは野党の責任

【塩田】現在、与野党は「一強多弱」の状況です。これを打破するには野党の結集・再編が必要という声は強い。昨年夏の参院選の直後、民主党幹事長だった細野さんは、当時のみんなの党幹事長の江田憲司さん(現維新の党共同代表)、日本維新の会国会議員団幹事長だった松野頼久さん(現維新の党代表代行)と3人で集まり、会合を持ちましたね。

【細野】一昨年暮れの総選挙の後、野党間の情報交換や、場合によっては棲み分けが必要というので、参院選の前から水面下で話をしていましたが、それぞれ党の事情が違っていて、参院選はそのまま突入せざるを得ませんでした。ですが、衆院選は小選挙区の問題がありますから、事態は深刻です。前回は野党間で話し合いができませんでした。同じ失敗は繰り返すことはできません。次の総選挙がいつになるかはわかりませんが、政策的な議論、党としての協力の仕組みなどは早めに考えたほうがいいと思い、3人でいろいろなことを始めました。

その後、私も幹事長を辞任し、以後、一議員として、維新やみんなの党の若手議員たちと議論を積み重ねてきました。彼らの社会保障に対する考え方や国会へのスタンス、われわれと肌合いが近いのはどの辺りかなど徐々に見えてきました。私は今度の維新と結いの党の合流による維新の党の旗揚げも前向きに捉えています。みんなの党も不確定な要素はありますが、政策的な議論でいうと、違和感はありません。いろいろな議論ができると思っています。

野党の支持率は上がっていないので、野党の結集に対して、国民の期待が高まっているとは言いませんが、軸になる考え方、政策は重要です。そういう面で、およその距離感がつかめるようになったのは大きな収穫だったと思います。

【塩田】2016年暮れまでに必ず総選挙があります。実質的な残り時間は2年足らずですが、限られた時間で野党の結集・再編をどういうふうに進めるべきですか。

【細野】時期も含め、明確に規定しないほうがいいと思っています。総選挙で国民に選択肢を示すのは野党の責任ですが、今のところ、その形になっていません。選択肢を示すには、まず野党の選挙協力が最低限のラインです。

選挙協力を行って他党の候補者の応援を訴えるとき、政策合意がなければ、有権者に失礼です。選挙協力だけをやるにしても、政策協議は絶対に必要です。そのレベルが高ければ高いほど、政策の合意点が多ければ多いほど、選挙協力の範囲も広がります。

【塩田】気になるのは、民主党の態勢です。党内は自主再建派、野党結集派、模様眺め派に分かれていて、海江田万里代表は舵取りに四苦八苦というふうに見えます。

【細野】9月に新しい執行部になり、だいぶ雰囲気が変わってきたと思います。岡田克也さん(元代表・元外相)が国政選挙担当の代表代行になりました。私も何度か話していますが、野党協力を念頭に置いていろいろな判断しておられる。民主党は挙党態勢になりにくい党と言われてきましたが、党として全体でやっていこうという雰囲気になっています。

野党で選挙協力するときも、民主党の再建が大前提だと思います。再建しなければ、民主党には、求心力も交渉能力も生まれない。人材の点も含めて、政権担当の経験があるわれわれがその点をもう一回、自覚をして、党パワーを底上げしていかなければ……。小選挙区で他の野党とうまく棲み分けできたとしても、政権の選択肢になりません。