中心市街地の地価が税収を大きく左右

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上写真:小学校の跡地に開業した介護予防施設「角川介護予防センター」。温泉水を利用した施設は日本初。 下グラフ:「公共交通沿線における居住人口の目標」富山市資料より引用。

少子化も逆手に取る。3年前には廃校になった小学校を、全国で初めて温泉水を利用した介護予防センターに作り替えた。こうした施策の結果、中心市街地では6年前から転入超過となっている。なかでも高齢化に対応したまちづくりに呼応した、高齢者の住み替えが目立つ。

市全体でみると、05年には11.8万人と全体の約28%だった中心市街地の居住人口は、13年までに13.5万人と約32%にまで増えている。市全体の人口は25年までの20年間で約4万人の減少が見込まれているが、中心市街地の人口を16.2万人にまで増やし、全体の約42%を占めることを目指す。

森市長は「不公平な政策」と話す。「人口減少は避けられません。そこで地方都市が持続性を高めるには『選択と集中』しかない。市域一律のサービスを見直すことが、結果として市民全員のメリットになる」

地方自治体の税収は地価下落に大きな影響を受ける。13年度の市税収入のうち、固定資産税と都市計画税は約45%。このうち面積では0.4%に過ぎない中心市街地が両税の22%を占めている。中心市街地に投資を集中させることで、地価を維持し、税収を保つ。それは「ほかの都市には打てないような施策」(森市長)の原資に代わる。

たとえば富山市は中核市としては全国で最も多い32の「地域包括支援センター」をもつ。このため市民の約87%が半径2キロ以内に居住しており、きめ細かな介護予防事業が展開されている。