2014年8月22日(金)

ニート株式会社のその後 ~「まとまらない組織」から学ぶ民主主義

“マネジメント”からの逃走 第9回

PRESIDENT Online スペシャル

著者
若新 雄純 わかしん・ゆうじゅん
人材・組織開発プロデューサー/慶應義塾大学特任講師

若新 雄純福井県若狭町生まれ。慶應義塾大学大学院修士課程(政策・メディア)修了。専門は産業・組織心理学とコミュニケーション論。全員がニートで取締役の「NEET株式会社」や女子高生がまちづくりを担う「鯖江市役所JK課」など、多様な働き方や組織のあり方を模索・提案する実験的プロジェクトを多数企画・実施中。著書に『創造的脱力』(光文社新書)がある。
若新ワールド
http://wakashin.com/

執筆記事一覧

若新雄純=文
1
nextpage

9時間に及ぶ株主総会

話題の「レンタルニート」サービス

昨年11月に設立したNEET(ニート)株式会社では、ニートが1時間1000円で一緒に遊ぶ「レンタルニート」が話題になるなど、収益性は限りなく低いながらも、少しずつ独自の動きが出始めてきました。その裏で、組織のあり方を巡っては日々喧嘩や衝突を繰り返し、まさに荒野を耕すような試行錯誤が続きました。大げさに言えば、文明の創世記であり、戦国の時代。去る6月末には、設立からの半年を省みながら、今後の会社のあり方を考えるべく、臨時株主総会を開催しました。

NEET株式会社は、全員がニートで取締役という実験的な会社です(詳しくはインタビュー記事 http://president.jp/articles/-/12263 を参照)。株主総会には、取締役160人超のうち首都圏近郊に住むメンバーを中心に約50人が集まり、残りのメンバーはインターネットから動画中継を見てチャット参加というスタイルです。事前に提案された議題は、報酬の支払い方法や代議制の導入についてなど7つ。各議題に1時間、休憩1時間、予備時間1時間……、総会には計9時間を想定しました。

なぜこれほどの時間が必要なのか。論理的に議論すれば済むというものではないのが、彼らの面白いところであり、面倒くさいところ……。合理性や妥当性以上に、十分な情報共有や多角的な議論、そして何よりもみんなの「納得感」が必要です。そもそもこの会社は、集まった若者たちの「疑問」や「違和感」から出発しているのです。どんな細部であれ、ちゃんと納得できなければ、何時間でもグルグルと議論をやり直す。決まりかけたこともひっくり返す。まぁこれでは、世の中をうまく渡っていけるわけがありません……。不器用なほどに素直すぎる。だからこそ、世の中からはみ出した少数派の存在になるわけです。

案の上、すべての議題を決議するのに予備も含めた9時間をすべて使い果たし、なんとか会場を撤収できました。とりわけ時間を要したのが、「代議制を導入するかどうか」についての議論。これ一つの議論に要した時間は、実に約3時間でした。

PickUp