「週休4日」という人生の実験

ゆるい就職は、「大事な人生を使った実験」です

現在僕が進めている、「週休4日で月収15万円」という新しいワークスタイルを模索する実験的な就職サービス「ゆるい就職(http://yurushu.jp)」。ここのところさまざまなメディアで取り上げられて話題となり、9月上旬の説明会を経て、現在100名以上の若者がプログラムに参加中です。受け入れを希望する企業も、30社近く集まってきました。

一方で、賛否両論がさまざまあるようです。別に嫌なら、気持ち悪いなら、このサービスを利用しなければいいだけのことなのですが……。この「働き方」という問題は、よほど素通りできないものなのでしょうか。僕にとって大切なことは、このプログラムに参加することを選択してくれた当事者たちと、どのように向き合って、どういう場所をつくっていくかということです。これが社会的にどのような意味や意義を成すものなのか、それは、この実験の現場から生まれる結果がすべてです。始めるまでは、何をどうこねまわしても、空論にすぎません。

中でもおもしろいのは、このプロジェクトに高学歴な若者や、大企業・有名企業で正社員として働いている若者が沢山参加していることに対して、「甘いうたい文句で騙している」「結局は派遣だ、もったいない」「若者を甘やかしている・ダメにしている」といったまったくとんちんかんな批判が多いことです。彼らが何に悩み、違和感を持ち、どう向き合おうとしているのか、まったく見えていない。

募集段階から、WEBサイトには「安定した就職を希望している方は間違っても応募しないでください」と、でかでかと書いてあります。そして説明会やワークショップでは、繰り返し、このプロジェクトが実験的であること、そして選択にはリスクがあること、これで人生が豊かになるのか、はたまた後悔することになるのか、それは一人ひとりの取り組み次第であることを何度も伝えています。それでも参加者は、あえてこの場を「覚悟」して選んでいます。

週5日フルタイムで働くことが「基本」で、それが「正しい」とされているような世の中ですが、社会環境が激変する中で、それしか選択肢がない、それ以外は劣化版で後ろ向きなものでしかない、という状況へのアンチテーゼとして実験的に始めたプロジェクトです。重要なのは、「週5へのアンチテーゼ」ではなく、「週5しかないことへのアンチテーゼ」だということです。

目的はあくまで、選択肢を増やすこと、ワークスタイルを多様にすることです。もちろん、バイトや派遣の仕事は今までもたくさんありました。けれども、替えのきく末端の仕事がほとんどです。週5勤務・正社員というテーブルにつかなければ、長期的なキャリアや職業能力を身につけられない、というのは、あまりに時代不適応な感じがします。

今回受け入れを希望している企業にとっても、その「時短」」という条件の中で若者の能力や成長を引き出し、高度な仕事を提供し続けられるかどうかの、難しいチャレンジです。もちろん、相性がよければ、週3日で正社員雇用してもいいし、本人が希望すれば週4・週5と増やしていってもいい。将来、週3日で年収500万円稼ぐマネージャーが誕生することも、育児があって時短勤務を希望する女性社員で同様の事例が増えているように、決して不可能ではありません。