倒産間近ではなく、「爆発間近」です

若新雄純(わかしん・ゆうじゅん)
人材・組織コンサルタント/慶應義塾大学特任助教
福井県若狭町生まれ。慶應義塾大学大学院修士課程(政策・メディア)修了。専門は産業・組織心理学とコミュニケーション論。全員がニートで取締役の「NEET株式会社」や女子高生が自治体改革を担う「鯖江市役所JK課」、週休4日で月収15万円の「ゆるい就職」など、新しい働き方や組織づくりを模索・提案する実験的プロジェクトを多数企画・実施し、さまざまな企業の人材・組織開発コンサルティングなども行う。
若新ワールド
http://wakashin.com/

全員がニートで取締役のNEET株式会社が設立されて約10カ月(会社については、連載第1回 http://president.jp/articles/-/12343 などを参照)。最近では、僕が新しく企画・提案している週休4日の「ゆるい就職」の話題なども相まって、毎日のように賛否両論が寄せられます。そんな中、先週あたりに、NEET株式会社の取締役メンバーを名乗る匿名の“暴露ブログ”を発端として、「ニート株式会社倒産間近か?」というようなニュース(?)がネット上で飛び交いました。

まず、会社の代表者として最初にお伝えしておきます。「倒産間近」は到底ありえません。借金なしで固定費もない会社です。違法なことでもしない限り、倒産しようがありません。でも、あえて言うなら、常に「爆発間近」です。

何が「爆発」しそうなのか? それは、一人ひとりがもつ、人間の感情です。

今回、取締役を名乗る一人が、無断で社内状況の一側面を“暴露”し、いろいろな意味で、世間は「ダメだこりゃ……」となったわけです。記載については、正しい部分もあったし、間違っている部分もあります。「土下座」まではしていませんが、僕が頭を下げたことはたくさんあります。とにかく、間違ったら謝る。帰り道、気分が重くて、ずっしり凹んで、チクチクする感覚を抱えながら、うじうじ反省する。それだけのことです。

それだけのことですけど、全てに「相手」が存在します。言葉、表情、感情……。全部が一つひとつ生きていて、だから辛いし、悲しいし、もちろん、だから嬉しい事もある。人間が人間として生きていくっていうのは、そういうことですよね?

騒動をうけ、“暴露ブログ”は書き換えられ、そこには「僕は会社を愛しています」と記されていました。

「じゃあ書くなよ!」って話ですが……、愛するほどに、壊したくもなるものなんでしょうか? それは執着? それともただの憎しみ? 僕たちは一体、何を求めて、何をつくって、誰に何を伝えるために生きてるんでしょうか。ちなみに、僕には「答え」はわかりません。だから、この会社をやっています。

無責任ですか? じゃあ、「答え」がわかっていることだけをやるのが、責任ある行為なんですか? そもそも、本当に、わかるんですか?