2014年6月10日(火)

時代は「プロジェクトベースの働き方」へ

働き方のリアル ベンチャー篇【9】FiNC 南野充則

PRESIDENT Online スペシャル

著者
稲泉 連 いないずみ・れん
ノンフィクション作家

稲泉 連

1979年、東京都生まれ。2005年、『ぼくもいくさに征くのだけれど』で大宅壮一ノンフィクション賞を史上最年少で受賞。その他の著書に『仕事漂流』『復興の書店』など。

執筆記事一覧

稲泉連=インタビュー・構成
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FiNC 南野充則
1989年生まれ。東京大学工学部卒。大学在学中に株式会社MEDICA、CDSystem株式会社を創業。2013年、FiNC入社。現在、同社取締役CTO。

僕はこの会社に友人の紹介で出会ったんです。

「スポーツジムの経営をしていて、次はオンラインでヘルスケアのサービスをつくりたいと言っている社長がいる。エンジニアがいないので一度会ってみて欲しい」と言われ、実際に話を聞いてこれは確かに面白そうだなと感じました。

東大で流通システムの研究室にいた僕は、大学時代に会社を2つ立ち上げているんです。1社目はOTC医薬品と呼ばれる市販の薬の成分をデータベース化して、実際にその人に効く薬を簡単に検索できるサービス。もう一つは医薬品の卸の事業でした。

どちらもネット販売の是非が議論されたり、様々な既得権益に囲まれていたりと業界の深い分野に触れる事業なので、いろいろと勉強になることが多かったですね。特に後者については思うところがありました。医薬品の流通ってマージンがすごく高くて、しかも薬局に1日に2度も配送していたりする世界なんです。無駄な倉庫や人をたくさん雇って利益率を低く見せているような業界で、流通の仕組みを変えれば薬価をもっと安くできるのに、それができていない。しようともしない。国の施策や製薬会社などに抗って、その仕組みを変えようと思ってつくった会社でした。

そのことを踏まえてここで言いたいのは、これからの時代には予防医療の領域が絶対に伸びてくるだろう、という確信を医療業界にかかわって得たことです。

今後の日本では高齢者は増えるけれど、国の医療費は限界にきていますよね。でも、被保険者は高齢者だと1割負担。患者さんは病気になったら病院に行き、お金を意識せずに使っているのが現状です。本当は9割を国民全体で負担しているわけだけれど、その意識はほとんどないですよね。

その意味でこれからの日本に必要になってくるのは、病気になる前段階で、それをセーブする機関や仕組みであるはずなんです。例えば僕の会社で行っていたように、もっと安い薬の存在を伝えたり、アドバイスしたりできる仕組み。でも、そうした仕組みをつくろうとすると製薬会社からのプレッシャーを受けるので、まずは最初の段階として病気にならないための政策が出てくるでしょう。多くの人たちが保険代を月に2万円払って、しかも病気にならないことが国にとってベストな状況ですから。

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