慶應SFCは差が大きい

【中原】選考の中で、将来活躍する人材かどうかをどのように見極めているんですか?

【Aさん】実は今、社内で活躍する人間の能力、コンピテンシーをデータ化し、それを採用時の基礎データとしてあてはめられないか、といった検討をしているところなんですが、世の中でそうした採用を行って成功した事例というのがなかなか出てこないので、実際はそうしたデータだけでは測りきれないのではないか、と……。

【Cさん】測りきれないですよ! この間、弊社でそうした調査をやってみたんです。入社3年、5年でパフォーマンスを出している人が入社時にどうだったのか。面接の評価や適性検査、筆記試験などとの関連性を見たのですが、相関性が無かった。

【Aさん】やはりそうですか!

【Cさん】ええ。採用したときに優秀だった人が活躍しているわけではなかったのです。その人が活躍するかどうかは職場や上司など、むしろ育成に依存しているのではないかと。だから今は、採用の方は、きちんと伸び代がありそうな所を見るようにし、その後の育成に力を入れる方向へシフトしています。

【中原】3月末に東京大学出版会より「活躍する組織人の探究 大学から企業へのトランジション」という本を出しました。その中で大学から企業・組織への適応がいかにして起こっているかを分析したのですが、大学時代の経験が組織に入ったあとの活躍にどの程度関わりがあるか、ということをデータで見ると、10%しか関わりがなかった。先ほども申し上げましたが、入社後に活躍できるかは配属後の職場要因が大きいと思います。もちろん、人の組織での行動を10%も説明できるのなら、それはいいじゃないか、という考え方もあります。残りの90%は、現場、現場のマネジャー、現場のメンバーに依存していて、人事は手を出せないからです。これは過去の研究事例でもだいたい同じです。そういう意味では、出身大学や学歴などは参考にされていますか?

【Aさん】特に見てはいないのですが、結果としては出てきますね。

【Cさん】同じです。結果としてはある程度の大学以上の人が残ります。

【Bさん】大学名で足切りをする、といったことはありませんが、意外と気になっているのは一般入試かAO入試か指定校推薦か……というところです。そういう意味では高校の偏差値も気になります。