そこで、O2O(オンライン・ツー・オフライン)の取り組みについて尋ねてみた。白井氏は、「私が所属しているのが広告販促企画部というところでして、外からお客さんを呼んでくるのがミッションの部署になっています。それゆえ、O2Oのためにやっているぐらいです」と語る。

ローソンのO2Oを語るうえで、LINEを抜きにすることはできない。同社では12年6月にLINEの公式アカウントを取得し、8月に「Lチキ」の半額クーポンを配布している。このキャンペーンでは、約10万人もの人々にクーポンを使ってもらったという。この絶対数の多さもさることながら、注目は引き換え率だ。通常のSNSのクーポンの引き換え率は、配布数の3%ぐらいが相場なのだが、このキャンペーンでは実にその倍に当たる約6%の引き換えがあったという。

白井氏からはO2Oだけでなく、「オムニ・チャネル」という言葉をお聞きした。これは、オムニバス・チャネルの略で、小説のオムニバス形式のように、各パートが独立した物語を展開しながらも、最後には一つの壮大なストーリーに収れんするというものだ。ローソンの場合、ネット上の人気キャラクター「あきこちゃん」を有効活用して、リアルとバーチャルの有機的な結合を果たしている。白井氏は、このあたりについてこう語る。「ネットとオフラインの統合は常々意識しています。あきこちゃんからネットのショップに(顧客を)送ることもありますし、ネットからリアルの店舗に送ることもあります」。まさに「あきこちゃん」を「架け橋」としたネットとリアルのハイブリッドがなされていることがわかる。

ローソンのソーシャルメディア戦略は輝かしい成果を挙げているが、その勝因の一つに「コラボレーションで先陣を切る」ということがあった。例えば、フェイスブックからは、日本企業初のフェイスブッククーポンを配布するということで米国のサイトで紹介され、グローバルケーススタディになった。また、世界一のチェックインサービス(位置情報を公開して自分の行動を他人と共有するアプリ)を展開する米国のFoursquareとも、全世界のローソン店舗に累計3回チェックインするとパートナーバッジを取得できるという日本企業初のコラボ・キャンペーンを実現している。ローソンでは、この種のソーシャルメディアとの先発的なコラボは枚挙にいとまがない。