2013年12月8日(日)

元銀行マン、エリート養成校をつくる【1】 -対談:IGS代表 福原正大×田原総一朗

新しい日本のチカラ

PRESIDENT 2013年12月2日号

村上 敬=構成 宇佐美雅浩=撮影
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【福原】日本の入試は中学から大学まで、答えは1つであるという前提でつくられています。それに合わせて学校でも、答えがある問題を出して、その解き方を教えています。そういった教育を通して「答えは1つ」と植えつけられているから、答えが出ない現実の問題に対応できない面があるのではないかと。

【田原】僕は小学3年生のときに算数が嫌いになりました。算数の時間に、「円を3等分しろ」という問題を出されたの。みんな普通に3等分してたけど、僕は「違う」と手をあげて、円をやたらに小さく分けました。すると先生から「むちゃくちゃ。こんなのは愚劣だ」と怒られてしまった。でも、この話を広中平祐(数学者。日本人2人目のフィールズ賞受賞者)にしたら、「それは微分のやり方だよ」と言われました。つまり、先生が答えは1つしかないと思い込んでいて、そうではない答えは認められないんです。

【福原】日本では、中学・高校レベルの数学の知識を小学校の算数に持ち込むと怒られる。田原さんの話は、日本の教育の硬直性を示す象徴的な例だと思います。

日本の教育には「議論」がない

1996年、企業派遣生としてフランスのINSEADとグランゼコールHECへ留学。世界のエリートと学ぶ中で、哲学的思考の重要性を強く意識する。

【田原】福原さんはフランスに留学経験がありますが、向こうでは日本のような教え方をしないのですか。

【福原】そうですね。日本人とフランス人のハーフの友人がフランスに転校になり、日本で解いたことのある問題がテストで出たそうです。彼女は日本で習った通りの答えを書いたのですが、結果は0点。彼女の母親が「うちの娘は正しいことを書いている」と抗議にいくと、先生は「この解答には彼女の考え方がまったく入っていない。これでは世界に対する彼女の付加価値がゼロだ」と説明しました。つまりフランスでは、正しい知識を得て終わりではなく、自分が知識を使って世界にどのように貢献するのかということをつねに問われるのです。

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