オタクというほどの趣味を持っている人は幸せです。最近、私のまわりで目につくのは、休日になると必ずわが家の近くの陸橋で、JRの電車に向かってカメラを構えている人たちです。熟年カップルや若い子連れ夫婦も結構います。微笑ましい光景ですよね。お父さんが鉄道好きで、家族も巻き込んで、家族サービス+趣味で家族がつながるわけです。

芸能人のおっかけでもいい。娘さんがファンでお母さんもファンになり、お父さんも巻き込んで、みんなでコンサートに行くなど、なかなか幸福な構図です。

私も宝塚やミュージカルを見にいくのが趣味なので、子供と一緒に行くことで親子関係がなんとかつながっています。男性が女性的な趣味をやってもいいし、逆に女性を男性の趣味に巻き込んでもいい。ぜひ、夫婦、家族そろっての趣味を持ってください。いつも一緒というほどベッタリする必要はなく、ほどよい距離でつながることができればいいのです。

また父親なら、仕事の内容が世間に役に立っていることを、家族に話しておいたほうが尊敬や承認を得やすいでしょう。

中央大学教授 山田昌弘
1957年、東京都生まれ。81年東京大学文学部卒。86年同大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。家族社会学が専門。愛情やお金を切り口に人間関係を社会学的に読み解く試みを行う。著書にベストセラーとなった『希望格差社会』、『幸福の方程式』(共著)、『なぜ若者は保守化するのか』など。
(構成=白河桃子 撮影=澁谷高晴)
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