悩み「やる気が出ない」

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篠原氏が推奨するやる気アップ術は「脳内リハーサル」。いわば、勉強する前のイメージトレーニングだ。

例えば、自分がソファから立ち上がって机まで歩き、テキストを開いて演習問題を解く――そんな“動画”を頭で再生してみる。勉強している姿を、もう1人の自分が俯瞰するような感覚だ。「具体的な行動をイメージできるようになると、勉強する前から前運動野や線条体の活動が高まるのです」(篠原氏)。

熟練したサッカー選手の場合、シュートを打つ脳内リハーサルをして脳の前運動野・運動野などの活動を活発化させ、体が疲労していても「今日もがんばろう」と意欲を高めることができるのだという。

もうひとつ、篠原氏が簡単に実践できるとすすめるのが、集中するための“入りの儀式”だ。

「机の上を拭く、片付けをするといったちょっとした作業を勉強前に習慣化してみましょう。そうやって体を動かしていると、脳内のやる気の回路が動きやすくなります」

やる気は勝手にふってくるものではない。自分を律するための行動が重要となる。内藤氏が提案するのは「デッドライン・テクニック」だ。

「今週中に◯◯の勉強を終了させる、といった期限や締め切りを自ら設定することで、自分を追い込む。人間はデッドラインを目の前にすると全力を出すんです」

しかし、そこで最大の敵となるのが、「今回は期限を守らなくてもいいや」という自分の甘さだ。

「期限を守るには、危機意識を持つことが必要です。数年後、リストラにあうのではないか。現在勤めている会社や業種は衰退しているのではないか。ライオンに狙われる草食動物のように不安や恐怖に怯える臆病さこそがむしろ、今のやる気に火をつけるんです」(内藤氏)

諏訪東京理科大学教授 篠原菊紀
1960年、長野県生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程等を経て、現在、諏訪東京理科大学共通教育センター教授、東京理科大総合研究機構併任教授。専門は応用健康科学、脳神経科学。著書に『勉強にハマる脳の作り方』など。

弁護士 荘司雅彦
1958年、三重県生まれ。東京大学法学部卒業後、日本長期信用銀行、野村証券投資信託を経て、司法試験合格。91年、弁護士登録。著書に『最短で結果が出る最強の勉強法』、娘の中学受験をテーマにした『中学受験BIBLE』など。

キャリアカウンセラー いぬかいはづき
産業カウンセラーとしてキャリアカウンセリングに従事。その経験を活かし、現在、「All About」ほか各種メディアで、キャリアプランニングの視点から資格などの効果的な勉強法に関するガイド役として活躍。

立正大学心理学部特任講師 内藤誼人
慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。現在、立正大学心理学部特任講師、有限会社アンギルド代表。実践的なビジネス心理学の第一人者として活躍。『すごい! 勉強法』『不安があなたを強くする』など著書は200冊超。
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