2024年1月に新NISAが始まり、まずは「つみたて投資枠」(旧つみたてNISA)から資産運用を始める人も多いだろう。
新NISAで積立投資を始めるには 銀行や証券会社で口座を開設後、アプリやブラウザから銘柄を選び、積立金額を設定するように、いくつかのステップがある。
この記事では新NISAで積立投資を始める初心者に向けて、金融機関の選び方から積立設定のやり方まで、画像付きでわかりやすく解説する。
目次
【初心者向け】新NISA「つみたて投資枠」の始め方・やり方
新NISAの「つみたて投資枠」(旧つみたてNISA)を始めるには、以下の4ステップがある。
1. 金融機関を選ぶ
まず、新NISA口座を開設する金融機関を選ぼう。
初心者は新NISAを始める際は、以下の観点で金融機関を選ぶとよい。
- 取引手数料が低いか
- つみたて投資枠の取扱銘柄数が豊富か
- クレカ積立のポイント付与率は高いか
- 持っているクレジットカードとの相性がよいか
金融機関の中でも特にネット証券は取引手数料が低く、取り扱い商品数も豊富で、クレジットカード積立によるポイント付与率が高いためおすすめだ。
一方、大手総合証券や銀行は対面でのサポートを受けられるメリットがある。サポート面を重視するなら検討してみよう。
2. NISA口座を開設する
口座を開設する金融機関を決めたら、実際にNISA口座を開設しよう。例として、2023年の1月〜9月の新規NISA口座開設数が国内最多であったSBI証券での口座開設のフローを説明する。SBI証券以外の金融機関であっても大まかな流れは変わらない。
①口座開設ボタンを押す
まずは公式サイトのページを開こう。
\新NISAを始めるなら/
画面が切り替わったら、「口座開設にすすむ」を選択する。
②メールアドレスを登録する
自分のメールアドレスを登録すると認証コードを記載したメールが届く。そこに記載されているコードを入力して残りの手続きに進もう。
③名前や住所を入力する
次に名前や住所を入力する。後に提出する本人確認書類と不一致があると口座開設に必要以上に時間がかかる場合があるため、間違いのないように入力しよう。
④特定口座・NISA口座を選択する
次に口座の選択画面に移る。まずは特定口座の選択だ。
「特定口座を開設する(厳選徴収あり)」「特定口座を開設する(源泉徴収なし)」「特定口座を開設しない」の3パターンが表示されるが、よくわからない場合は「開設する(源泉徴収あり)」がおすすめだ。
特定口座の「源泉徴収あり」を選ぶと、特定口座の投資で利益が出たときに自動的に税金が差し引かれ、自分で確定申告を行う必要がない。ただし、投資で得た利益が年20万円以下の場合、本来納めなくてよかった税金を天引きされてしまう可能性がある点がデメリットとなる。
確定申告が煩わしいと感じる人は「源泉徴収あり」、自分で管理できる人や、すでに確定申告をしている人は「源泉徴収なし」がおすすめだ。
迷った場合はとりあえず「源泉徴収あり」を選択し、口座開設後に源泉徴収の有無を変更してもよい。
ちなみに特定口座を開設しなかった場合は「一般口座」を開設することになる。一般口座は未公開株式(上場していない株式)の取引ができる点がメリットだが、確定申告が必要で、なおかつ確定申告に必要な「年間取引報告書」を作成する手間がかかる。
特定口座なら年間取引報告書は証券会社が作成してくれるので、初心者には特定口座がおすすめだ。
次にNISA口座の選択だ。ここでは「NISA口座を申し込む」を選択しよう。後からNISA口座を申し込むこともできるが、二度手間になってしまう。
また、すでに他の銀行や証券会社でNISA口座を申し込んだことがある場合は「他社から乗り換える」を選択しよう。
⑤提携銀行の口座開設有無を選択する
SBI証券の場合、次に「住信SBIネット銀行」や「SBI新生銀行」の同時申し込みの選択画面が出てくる。これらのネット銀行の開設は必須ではない。クレカ積立を利用して毎月の決済を行う場合などは不要だろう。
しかし、例えば住信SBIネット銀行は金利が通常の銀行の約10倍、ATMが無料になるメリットもあるため、それぞれの特徴を確認して開設を判断しよう。
⑥口座開設方法を選択する
入力した事項を確認し終えたら、口座開設方法を選択する。おすすめは最短2日後に口座開設が完了する「ネットで口座開設」だ。マイナンバーカードなどの本人確認書類と顔写真を撮影するだけなので、ネットでの手続きが不慣れでも簡単にできるだろう。
⑦本人確認書類を提出する
⑥までの手続きが完了すると、登録したメールアドレス宛てにユーザーネームが届く。口座申し込み完了時に表示されるログインパスワードとこのユーザーネームはメモしておこう。
SBI証券の公式サイトにログインすると、本人確認書類の提出が求められる。
スマホを持っている場合はマイナンバーカードさえあれば手続きができる。持っていない場合は「マイナンバー通知カード+運転免許証」などの組み合わせがおすすめだ。
3. 投資する商品を選ぶ
NISA口座の開設手続きが終わったら投資する商品を選ぼう。本人確認書類の審査待ち時間であってもNISA口座は仮開設状態となっており、銘柄の購入手続きを進めることができる。つみたて投資枠で投資する商品は次の3つの観点で選ぼう。
- 信託報酬が低い銘柄を選ぶ
- 純資産総額が少なすぎる銘柄は避ける
- 最大下落率を見てリスクを確認する
特に信託報酬(手数料)の低い銘柄を選ぶことは、長期投資を前提とするつみたて投資において重要なポイントだ。
銘柄名 | 信託報酬(年率) |
---|---|
eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー) |
0.05775% |
eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) |
0.09372% |
SBI・V・全米株式 インデックス・ファンド |
0.0938% |
ニッセイ・インデックスバランスファンド (4資産均等型) |
0.154% |
DCニッセイワールドセレクトファンド (債券重視型) |
0.154% |
銘柄の選び方をさらに詳しく知りたい人は次の記事を見てほしい。
ネット証券では取引専用のスマホアプリが用意されていることが多い。このタイミングで取引アプリをダウンロードしておくと、その後の操作がよりスムーズになる上に、各アプリでは「ファンドの買付額ランキング」などが期間ごとに公開されている場合が多いため、参考にできておすすめだ。
4. 積立設定をする
最後に選んだ銘柄の積立設定をする。積立設定の項目は以下の通りだ。
- 積立金額の入力
- 決済方法の選択
- 引き落とし日の選択
- 積立頻度の選択
積立金額は日々の生活の余剰資金の範囲内で入力しよう。ネット証券であれば100円から積み立てることが可能だ。
決済方法は銀行からの引き落としなども選択できるが、クレジットカードによる投信積立の決済(クレカ積立)を選択するとポイントが貯まるためおすすめだ。
ただし、クレカ積立を選択すると、積立頻度は「毎月」しか選択できない点は注意しよう。
【口座別】NISA(つみたて投資枠)で銘柄を買うまでの手順
人気のネット証券「SBI証券」「楽天証券」を例に、銘柄を買うまでの手順を口座別でそれぞれ解説する。アプリや公式サイトでの操作方法が分からない場合は参考にしよう。
SBI証券での銘柄の買い方
SBI証券でのつみたて投資枠銘柄の買い方は以下の通りだ。
1.かんたん積立アプリをインストールする
口座開設時に送られるログインパスワードとユーザーネームを入力してログインしよう。
ブラウザでも買付は可能だが、アプリの方がログインが簡単であるため、口座開設と同時にダウンロードしておくといいだろう。
ブラウザを利用する場合SBI証券のトップページからログインし、メニューバーの「投信」から「投信パワーサーチ」画面に遷移すると、以下、アプリとほとんど同様の操作を行える。
2.ファンド検索で投資する銘柄を決める
右上のメニューから「ファンド検索」を選択すると、以下のように投資信託のランキングが表示される。
「条件を絞る」をタップして自分に合う銘柄を条件面から絞り込んだり、販売金額ランキングを参考にしたりして銘柄を決めよう。銘柄選定のコツやおすすめの銘柄についてはこちらで解説している。
ここでは、例として「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」に投資することを想定する。
3.説明書を確認する
個別銘柄の画面で「積立買付」を選択する。
PDFが3つあるので、それぞれ開いて確認すると右下のチェックボタンに入力できるようになる。確認が完了したら「進む」をクリックする。
4.設定を入力する
画面に従い「決済方法」「預り区分」「コース設定」をそれぞれ入力する。
クレカ積立を行う場合は「クレジットカード」を選択し、預り区分については、今回は「つみたて投資枠」での投資を想定しているので「NISA(つみたて)」を選択しよう。
「成長投資枠」を利用したい場合は預かり区分を「NISA(成長)」にするとよい。
ここでクレジットカードを選択できない場合はSBI証券とクレジットカードのひも付けが終わっていないので、ホームのメニューからクレジットカードを登録しよう。
つみたて投資枠の年間上限額(120万円)を超える金額を積み立てる場合は、「NISA(成長)」を選択するとよいだろう。
積立金額も入力し、「ボーナス月設定」なども必要に応じて設定した後、取引パスワードを入力して確認を完了すると積立買付ができる。
楽天証券での銘柄の買い方
楽天証券でのつみたて投資枠銘柄の買い方は以下の通りだ。
1. 楽天証券の公式サイトにログイン
ログインIDとパスワードを確認し、楽天証券の公式サイトにログインする。
2. 投資する銘柄を選ぶ
トップページからNISAを選択し、銘柄の検索画面を開いて投資する銘柄(ファンド)を選ぶ。
検索画面では個別のファンド名を検索できるが、初めて銘柄を買う場合は上のタブから「探す」を選択する。
以下のように、検索条件から銘柄を探すといいだろう。ランキング上位の銘柄から、信託報酬が低く、分散投資しているものを選ぼう。
銘柄を選択すると、以下の画面が出てくるので、「積立設定」を選択する。
3. 積立設定を行う
積立金額を入力し、引落方法と積立指定日を選択する。
「積立設定」を選ぶと、毎月の積立金額を選択する画面が出てくる。100円から入力できるので、余剰資金に収まる額にしよう。
金額を入力すると、引落方法の選択画面が出てくる。おすすめはポイントが貯まる「楽天カードクレジット決済」もしくは「楽天キャッシュ(電子マネー)」だ。
特定の月に積立金額を増やす「ボーナス設定」もできる。現時点で積立金額を増やしたい月があれば、設定しておこう。
4. 目論見書を確認する
全ての設定が完了すると、目論見書の確認画面になる。
目論見書とは投資信託の説明書で、投資の判断に必要な重要事項が書かれているため、購入前に一度目を通しておこう。
確認が終わると、積立決済の手続き完了画面に切り替わり、操作は完了だ。
新NISAの始め方に関するよくある質問
- 新NISAを銀行で始めるのはやめたほうがいい?
- 新NISAで投資できる商品数やコストを重視するなら、銀行で新NISAを始めるのはやめたほうがいいだろう。 銀行で始めるデメリットとして、個別株やETF(上場投資信託)の取り扱いがない点や、人気の投資信託を取り扱っていない場合がある点が挙げられる。 また、証券会社と比較して投資信託の信託報酬(コスト)が高い傾向にあり、ポイントサービスも充実していない。 銀行は対面で担当者に相談できるメリットもあるが、松井証券のように電話で銘柄相談できる会社もあるため、新NISAは銀行ではなく証券会社で始めるのがおすすめだ。
- 新NISAの銘柄(投資信託)はいくつ買うのがよい?
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ハイリターンを狙う商品を除き、投資する地域や資産クラスを分散している銘柄の場合は1銘柄のみの投資でもよいだろう。
銘柄を複数買う目的は分散投資をしてリスクを抑えることにあるが、分散投資をしている銘柄の場合は1銘柄でその点が担保されるからだ。
株式投資は1つの銘柄に集中投資したほうが儲かるともいわれるが、失敗したときの損失も大きくなる。リターンだけでなくリスクも考えて、分散投資を心がけよう。