では、そうしたアナログな業務状況のどこに問題があるのか。例えば、営業スタッフが交通費を紙やエクセルで申請する場合、申請者は利用した交通機関の運賃を乗換案内サイトなどで調べ、申請書へ書き込むといった手間が発生する。上司や経理担当などの承認者も「申請内容に間違いはないか」「定期区間は控除されているか」といったチェックに多くの時間を取られてしまう。さらに経理担当は、承認された申請書のデータを集計し、別の会計ソフトへ手入力するといった非効率な作業で忙殺される。

こうした一連の手間と労力、それにともなう間接コストを大幅に軽減するために多くの企業で導入されつつあるのが、「経費精算システム」である。中小企業向けクラウドサービスを展開し、全国250社、2万人以上に経費精算システムを提供している株式会社ラクスの中村崇則代表取締役社長は次のように語る。

「かつては当社でも、マンパワーに頼っていた業務のあり方に限界を感じ、販売管理や人事、経理業務などを統合的に管理できるシステムの導入を検討したことがあります。しかし失敗するかもしれないシステムに多くのコストと時間をかけることができず、断念しました。そこで、もっとも改善が必要だった経費精算業務に特化して業務効率化システムを開発し、自社で運用したのです。試行錯誤の結果、経費精算に関わる会社全体の業務を劇的に減らすことに成功し、当時社員100人規模で、月間約30万円の経費削減効果が得られました」