子どもは先の見通しを持って判断できない
Q.習い事をしたいと自分から言うので、習わせるのに毎回長続きしません。
A.見通しがなく判断するのが子ども。選択の責任を子どもに負わせてはいけません
「あなたがピアノを習いたいと言ったんだから、ちゃんと練習しなさい」「食べるって言ったんだから、残さず食べなさい」「やるって言ったのに、なんでやらないの?」
そんなふうに、お子さんに言ってしまうことがあると思います。
ここで、「これがしたい」「これをする」と言ったときのお子さんの気持ちを想像してみましょう。お友達がピアノを弾いているのを見て、「私も弾きたい」と言ったときには、毎日練習が必要だということは知りませんし、弾けるようになるために長い時間が必要だということもわかってはいません。大きなハンバーグを見て「あれが食べたい!」と言ったときには、こんなにもお腹がいっぱいになってしまうなんて、想像できなかったのです。「これをする!」と宣言したときの気持ちが簡単になくなってしまうなんて、その時には思いもよらなかったのです。ただ、同じようなことは大人にもありますよね。例えば、読書をしようと思ったのに、スマホを見てしまった、など。
子どもは、先の見通しを持って判断をしているわけではありません。
よくわからないまま、「これがしたい」「これをする」と言っているに過ぎないのです。ですからまだ、その責任を負わせるのは早すぎます。「自分で言ったのだから、最後までやりなさい」というのは、子どもには酷な話です。自分の選択が、どのようなことを引き起こすのかがわかっていないからです。ピアノを習うという選択が、毎日の練習につながるなんて思いもよらないわけです。
大きな選択を子どもに任せてはいけない
園の見学に来て、「どう? この園気に入った?」とお子さんに聞く親御さんがいます。「この子がここがいいと言ったので」と、園を選ぶ方もいらっしゃいます。しかし「園選び」という大きな選択を、お子さんに任せてはいけません。大事なことを選ぶのは、大人の責任です。
子どもは目の前にある情報をもとに、選択をします。そして、それが将来に及ぼす影響については、考えることができません。
お子さんがシュタイナー園に見学に来て「ここがいい」と言ったのは、美味しいおやつを食べたからかもしれませんし、その日のご機嫌がよかったからかもしれません。通うことを渋るようになったときに、「あなたが決めたんでしょ」と言われても、子どもは困ってしまうでしょう。
大人が決めるべきことと、子どもに選択させることは、明確に分けなければなりません。大事なことは、大人が決める。
そして子どもに選択させたことであっても、責任をとるのは、大人の仕事です。


