膨大な学費や生活費がかかるので奨学金やローンを有効活用
では、いざ海外大へ進むとなった場合、子供1人につき学費や生活費はいくらくらいかかるのか。参考までに、2025年度からの東大の授業料年額は64万2960円だ。
「海外大の学費はおしなべて高いですが、なかでもアメリカの大学は特に高いですね。例えば、イェール大では学費と寮費が合わせて年間8万ドル(約1200万円)を超えます。つまり4年で約5000万円以上かかりますが、返還不要の奨学金などもあり、定価でそのまま払う生徒だけではありません。所得水準に合わせて、または、両親が非大卒家庭である場合に大学から給付される奨学金などもあります。優秀な生徒は、柳井正財団などから十分な金額の給付型の奨学金制度を受けられます。ほかにJASSO(日本学生支援機構)と教育ローンなど、さまざまな手段を組み合わせて、複合的に学費を捻出する生徒も少なくありません」(斉藤さん)
「日本から海外大に進む子の7〜8割は、奨学金などの財政支援を利用している印象です」(篠塚さん)
ただ、海外大を出て外資企業に就職した場合にもらえるグローバル賃金の初任給は1000万円超であることも珍しくないため「投資と捉えて全額出すと語っていた家庭も過去にはあった」(入谷さん)そうだ。
「英米に限らなければ別の選択肢もあります。例えば、オランダのアムステルダム大学の場合、海外の学生は学費が約40万円〜180万円程と比較的安いです」(篠塚さん)
そこに生活費がプラスにかかるというわけだ。
海外大を目指すなら子供時代に何が必要?
最後に、海外への留学や海外大への進学を子供に目指してほしいと思う親へのアドバイスを聞いた。
「年に一度でもいいから、親子で海外へ行ってほしいなと思います。旅の合間に海外大にも足を伸ばせるといいでしょう。子供は行った場所に興味を持ちやすいので。海外に行ったことがないとなると、海外大を目指すのはハードルが高いと感じるでしょうが、行けば『海外ってこんなにパッと行けるんだ』と感じ、当たり前の選択肢のひとつになっていくはずです」(星さん)
「目的意識、キャリア意識を早いうちから持つことが非常に大事。僕の場合は何歳でこうなっていたい、というライフチャートを紙に書いていて、海外の大学院に行く目標から逆算して上智大に入ったという経緯があります」(斉藤さん)
「海外トップ大学が重視するのはユニークな人材であり、その鍵となるのが課外活動です。中高時代に一定期間、子供が何かに熱中して取り組むことが求められます。ぜひ、時間のある小学生時代にいろんなことに取り組む中で、子供自身がやりたいことを見つけ、何かを好きになる経験をしてほしい。それが結果的に、個性や主体性を育む基盤となるでしょう」(入谷さん、篠塚さん)
今回話を聞いたすべての方が、海外での学びが今の自分の土台になっていると笑顔で答えてくれたのが印象的だった。高校から海外大を目指すにしろ、国内大を卒業後に海外の大学院を目指すにしろ、海外大ならではの魅力に出合うきっかけに本記事がなればと思う。
【コラム】イギリス大とアメリカ大の大きな違い
イギリスの大学は、基本的には3年制(スコットランドのみ4年制)で、高校のうちに教養課程を学び、大学では志望した専門分野を究めていくことになる。そのため、基本的には入学した後に専攻を変えることはできないところが多い。アメリカの大学は日本と同じ4年制で、1~2年生で教養課程を学び、その後に、専門課程に進んでいく。
「イギリスと比べると、数学と音楽というふうに畑違いの分野を複数専攻できる大学が多いです。いろいろな分野を学びたい学生におすすめですね」(篠塚さん)
また、どちらの大学も、入学時にエッセイを書くことが求められる点は同じだが、試験の点数とエッセイの内容の両方を加味して選考を行うイギリスに対して、アメリカの大学は、エッセイの内容こそが合否の鍵を握る。
「自分はどういう人間か、大学に自分はどうマッチするかなどを、明確に具体的に書くこと。これはきちんと自己分析できていないと書けません。ガリ勉タイプより、優秀かつ“ストリートスマート”=生きていく知恵にたけている子が受かる印象です」(星さん)
さらにGPA(高校の成績評価値)、推薦書、スポーツ・ボランティア・課外活動の証明書、TOEFLやIELTSなどの英語外部試験のスコアなども必要になるという。
「学部へ入学するのはかなりの狭き門になるので、専攻によっては比較的学費を抑えられて、合格率も上がる大学院からの入学を目指すのもよい作戦かと思います」(星さん)

